来る7月1日、中華人民共和国を統治する中国共産党は結党100年を迎える。
この共産党の「今」を理解し、「将来」を展望するには、この100年の歴史への理解が欠かせない。論語にある「温故知新」の実践だ。
共産党は1921年7月、わずか50人の党員、13人の代表で結成された。その後、中国国民党との協調(合作)と内戦、1949年の新中国の建国、大躍進と文化大革命、改革開放政策への転換、天安門事件、北京オリンピックと上海万博を経て、現在の習近平(シー・ジンピン)時代を迎えた。
その間に、党員数は9200万人(2020年末)を超える規模に拡大し、インド人民党と並ぶ世界最大級の政党となった。その構成員は、ホワイトカラー層が労働者・農牧漁業従事者を上回る。かつての「階級政党」は「エリートの党」に姿を変えた。その主な任務も、「共産主義社会の実現」から、「富強中国の実現」「中華民族の偉大な復興」という民族主義的な主張に変わった。
この100年を天児慧・早稲田大学名誉教授に概観していただく。『中華人民共和国史』や『巨龍の胎動 毛沢東 vs. 鄧小平』などの著書がある中国研究の重鎮だ。キーパーソンはもちろん、毛沢東、鄧小平、そして習近平だ。
(写真:中国共産党の歴代指導者を描いた皿が並ぶ。後列は習近平。前列右端が毛沢東。左から2番目が江沢民、3番目が胡錦濤、3番目が鄧小平:ロイター/アフロ)
シリーズ
学び直し! 中国共産党100年~毛沢東から習近平まで

全3回
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中国共産党100年、毛沢東を回想「見果てぬ社会主義建設への闘争」
毛沢東が歩んだ軌跡を見ると「闘争」の歴史であった。中華人民共和国誕生前は、中国国民党との内戦。同国誕生後は、対外的には中ソ対立、国内では反右派闘争を展開した。「大躍進」では、異を唱える人々を「右翼日和見分子」として厳しく…
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「白猫黒猫論」を唱え、極貧の中国を経済大国へと導いた鄧小平
鄧小平は幾度もの失脚を経験したものの、そのたびに復活を遂げた。そして、中国の経済建設、近代化路線への転換に成功した。鄧は当初、経済改革と政治改革を「改革開放の両輪」と位置づけていた。政治改革の面でも、党・指導幹部の定年制…
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「建国」「富国」を経て、習近平は「強国」目指す
毛沢東の戦略は「站起來」(建国)。鄧小平の戦略は「富起来」(富国)だった。これに続く習近平が進めるのは「強起来」(強国)だ。鄧小平が進めた改革開放政策は、大枠で言えば「西欧モデル」の追求だった。これに対して習近平が進める…
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