謝る勇気、やめる勇気が次につながる

 僕は当初、謝ることが怖かった。経営者としての未熟さを、組織の内側に露呈するのが怖かった。「情けない社長だ」と言われるんじゃないかと、不安だった。

 特に創業して数年の間は、過剰に強がろうとしていた。もともと失敗は恐れないタイプだったけれど、僕を信じて転職してくれた社員たちを思うと、情けない社長になってはいけないと構えてしまっていた。

 けれど今は少し考えが変わった。まだ結果が出ていない時期であっても、間違ったら正直に謝るほうがいい。

 なぜなら仲間たちも、うすうす気づいているはずだから。「きっと難しいだろうな」「社長はいつ判断するのかな」と、口には出さなくても、“やめる勇気”の発動を予感している。やめるという判断は、本当に難しい。今まで頑張ってくれた仲間たちの努力、ユーザーからの期待を考えると、やめるという判断は先延ばししたくなる。

 だからこそリーダーが、「やめよう」という判断をし、みんなに自分の意思決定の未熟さを、経営者としての未熟さを謝らなければならない。そしていざ、その勇気が発動されたときに、「ごめんなさい」と言えるかどうか。それによって、その後の信頼関係や心の距離は変わってくるように思う。

 いいときも悪いときも正直であることが大事なのだ。

多くの危機を乗り越えてきた
起業家からのアドバイス

 誰も使ってくれないプロダクト、接続先からのアクセス拒否、訴訟や規制との摩擦、サービス全停止の危機、仲間とのすれ違い、ユーザーからの大反発……胃がキリキリする“黒歴史”が、起業家をタフに変え、強いチームと成功を生み出しました。

 本書では、マネーフォワードCEOの辻庸介さんが、スタートアップから今に至るまでのマネーフォワードの試行錯誤を、「本当に、ここまで書いていいんですか?」というところまで語ります。

 課題解決に向けた必死の取り組み、困難を経て生まれる組織としての一体感、そして失敗にひもづいた多くの学びは、起業したい人はもちろん、日々の仕事や生活で困難や課題に直面している方のヒントとなるはずです。

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