リベンジのつもりが、マネタイズできずに断念

 諦めの悪い僕は、「チャットがダメなら、対面形式で徹底的に相談に乗る方法でやってみよう」と方向転換。次なる店舗型サービス「mirai talk」を始めた。「マネーフォワード ME」でお金の現状把握が簡単にできるようになったユーザーに、次はお金の改善ができるソリューションを、何としても提供したかった。

 Money Askの反省から、今度は丁寧なコミュニケーションにこだわった。「お金のライザップ」と銘打って、ユーザーの悩みにとことん向き合うカウンセリングを提供した。東京・新宿にオープンした店舗に経験豊富なFPが常駐し、ユーザーの相談を受ける。深刻なお金の悩みには、借金や離婚など人生の深い問題が絡むことも少なくなかった。

 誰にも言えなかった悩みを打ち明けながらお金の不安を解消していけるサービスに、涙を流して喜んでくれるユーザーもいて、顧客満足度は社内史上最高のスコアに。半年で30万円ほどという高価格のサービスであるにもかかわらず、高い支持が実現した。

 今回は、PMFは完全にクリアできたと言っていいだろう。

 だがこのサービスは、次なる壁、マネタイズでつまずいた。質の高い人材を確保するための人件費や店舗運営の維持費がかさみ、ビジネスとして継続するのが難しいという最終判断になったのだ。

 相談者に対して、高い手数料がもらえる金融商品を売って手数料を取るような稼ぎ方をすれば簡単だったのかもしれないが、僕たちの美学として、それはしたくなかった。ユーザーにとってあまり好ましくない特定の商品を売ることがゴールになると、ユーザーサイドに立つことはできないと判断したためだ。

 愛用してくれているユーザーも定着しかけたところでのクローズは非常に悔しかったが、仕方のない決断だった。社員にも「申し訳ない」と謝った。

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