投資家にはおなじみの「テクニカル分析(チャート分析)」の創始者の一人とされる、ウィリアム・ギャン。1929年10月の「暗黒の木曜日」に始まる株価暴落を、前年に予言。暴落のタイミングも1カ月ずれただけで、ほぼ言い当てた。占星術にも学んだというギャンの相場予測はオカルト的にも見えるが、その驚異的な戦績は誰も否定できない。『大恐慌の勝者たち』から抜粋してお届けする。

■ギャン・スクエア(カーディナル・マップ)
相場の奇才、ウィリアム・ギャンが考案した「ギャン・スクエア(カーディナル・マップ)」。らせん状に数字を並べたこのチャートに、相場の大きな動きに潜む「自然の摂理」が示されているとした。オカルト的にも思えるが、ギャンの相場予測は不思議とよく当たり、その手法には今も多くの信奉者がいる

 「私は暗黒の木曜日を予知していた」――― 世界大恐慌の起点となった株価暴落について、こう主張した相場師は少なからずいた。 しかし、その大半が後付けの自己申告であり、とても信用できたものではない。

 こうしたなかで、間違いなく「暗黒の木曜日を予知していた」といえるのがウィリアム・D・ギャンだ。

 1928年末、すでにアメリカの株式市場において著名であったギャンは、翌年の相場見通しを発表した。ここで「29年9月3日をもって大相場は終わる」とした。

 「9月にこの年で最も急激な下落のひとつが起こり、投資家は自信を失い、いっせいに市場から撤退しようとするがもう手遅れであろう。嵐が穀物をなぎ倒し、経済界に暗雲が漂います。株を持っていたらすぐに売ってください。富のピラミッドがまさに崩れ去ろうとしているのです」

 実際に株価大暴落が起きたのは、29年10月。大半の投資家が株価上昇を予想していたなかで暴落を予言し、タイミングこそわずかにずれたものの、1カ月だけ。驚くべき予測精度といえるだろう(当時、投資家の間で楽観論が強かったことは、第1回で詳述した)。

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この記事はシリーズ「マネーの教養「世界大恐慌の真実」」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。