相場の動きには「振動の法則」がある!

 ウィリアム・D・ギャンは、1878年6月6日にテキサス州の綿花栽培農家に生まれた。

 体が弱かったことから、農家を継げなかったギャンは、綿花問屋で働き始める。ここで綿花の先物取引を覚えたことをきっかけに、相場の世界へ入っていった。やがて株取引も始め、1906年に28歳で独立し、相場師として大きな成功を収める。

 相場の動きを物理的に捉える「テクニカル分析(チャート分析)」。ギャンはその創始者の一人とされる。 テクニカル分析とは、過去の相場の値動きをチャート(罫線表)で表現して、トレンドや パターンを見出し、今後の相場の値動きを予測するという手法だ。

 「もし正確なデータをつかみ、そのサイクルがわかれば、1年や2年先を予見するのと 同様、100年先、1000年先でも予見することができます」と語ったギャン。

 その言葉通り、データ収集に並々ならぬ精力を注いだ。ニューヨークの図書館や博物館に9カ月間も通いつめ、小麦相場のチャートを1200年代にまで遡って作成したり、1820 年代からの証券取引データを調べたりしたこともあれば、大英博物館に何カ月も籠もって相場分析をしたことも。こうした研究から、相場の動きには「振動の法則」(the Law of Vibration)があることを発見したというのだ。

魔方陣のごときチャートで相場を予測

 ギャンは、相場のサイクルを次のように分類した。

  • 超長期サイクル: 60年、30年など年単位のサイクル
  • 長期サイクル: 50カ月、40カ月など月単位のサイクル
  • 中期サイクル: 30週、20週など週単位のサイクル
  • 短期サイクル: 40日、20日など日単位のサイクル……など。

 これらを独自の方法で組み合わせ、チャート化したギャン。これによって相場が最高値、最安値をつけるタイミング、さらにそのときの価格水準まで予測できるというのだ。

 ギャンは「ギャン・スクエア」(カーディナル・マップ)という、独創的なチャートを編み出した(記事冒頭に掲載)。数字の1を中心に、らせん状に数字を並べたチャートであり、魔方陣のようにも見える。この不思議なチャートこそが、相場の大きな動きの中に潜む「自然の摂理」を示しており、中心を通る縦と横のライン上の数字が、相場が最高値、最安値をつける時期と、その水準を示しているというのが、ギャンの主張であった。

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