「女の子用も赤色じゃなくて、黄色とかでもいいのにね」

―― 本には、ryuchellさんの子育てについても触れられていました。ジェンダー意識を根付かせるために工夫をしているそうですね。

ryuchell 例えば広告を見ていても、女の子用おもちゃのCMには女の子しか出てこない、男の子用のおもちゃのCMには男の子しか登場しない。おもちゃ屋さんでも、女の子用のコーナーはピンク色で、男の子用のコーナーはブルー。そういうのを見ながら小さい頃から子どもたちは「そういうものなんだ」という固定観念を植え付けられてしまっていると思います。

 僕はそういうCMが流れるたびに、子どもに「なんでこれ、女の子しか出ていないのかな」と聞いたりして、疑問をいっぱい投げかけています。どうしたって外で「女の子だから」「男の子だから」と学んできてしまうので。家でプリンセスの話を読んでいるときに、「プリンセスから男の子に告白したっていいんだよ」と言ってあげる。「そうだよね。こう書かれているけど、別のやり方しても別にいいんだよね」という考え方を積極的に繰り返し教えることが大事だと思っています。

 街中のトイレも赤色で女性用、青色で男性用って分かれていますよね。僕は、外で子どもと一緒にトイレに入るときに、「なんで女の子用は赤い色で書かれているんだろうね。黄色とかでもいいのにね」といった声を掛けます。放っておくと社会的なジェンダー意識の植え付けに負けてしまうので、家の中ではしつこいぐらいに子どもに問いかけるようにしています。

「色認共愛」に込めた思い

―― 本の「おわりに」の中で、「色認共愛(しきにんきょうあい)」という言葉が紹介されていました。これはどういう意味ですか?

ryuchell 「色」は自分の色や相手の色を指します。その色を「認」めて「共」有する。理解できなかったとしても分かち合う。それができてこそ「愛」が生まれる、という意味です。

 自分のことを大切にできなかったり、反対意見の人を遮断したり、自分の思いを他人に強要することが正義だと思ったり――。そういう姿勢ではなく、違う意見を持っている人とも共に歩んでいく生き方がいいと思います。

 本の「はじめに」に「なぜ、生きているんだろう」という言葉を書いたのですが、幸せじゃないときに僕はこう思ってしまいます。でも、愛を感じていれば、人は生きていられます。

 「色認共愛」は今回、本を作るにあたって作った造語です。実は当初、この言葉を本のタイトルにしようとしていました。でもこの言葉は、僕が考える「ゴール」の姿なんです。ゴールをタイトルにしたら、読者の皆さんには何のことか分からないだろうなと思って、『こんな世の中で生きていくしかないなら』というスタートラインをタイトルにしました。本の中身で「自分を強くする方法」を書いて、「おわりに」にこの言葉を書いたというわけです。

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