「イクメンなんて言葉、なくなればいいのに」

―― 本には「イクメンなんて言葉、なくなればいいのに」という言葉もありました。『#駄言辞典』でも、「イクメン」が駄言として載っています。

ryuchell パパに対して「イクメン」という言葉があるんだったら、ママを称賛する言葉もあっていいと思うんです。2018年に「イクメン オブ ザ イヤー」をもらったとき、僕は恥ずかしかったんです。「自分の子どもを育てるのは当然なのに、僕は何を受賞しているんだろう」って。イベント中もずっと不機嫌な顔をしてしまって。受賞しても幸せな感じがしなくて、インスタグラムのストーリーで「イクメンって何なの?」ってその日の夜にアップして、周りの大人に怒られました。

 男性が育児をして褒められることではないし、女性が育児をして褒められることでもない。当たり前のことですよね。覚悟を持って「何があっても育てていくぞ」という気持ちで子育てをしているのに、「イクメン」と言われるのはしっくり来ませんでした。

若い人が政治に関わっていかないといけない

―― 「奥さん」「旦那さん」という言い方も避けているそうですね。日本社会には「女性は家、男性は外」という性別役割分業が残っています。世界経済フォーラム(WEF)による「ジェンダーギャップ指数2021」も日本は120位と、なかなか向上しません。日本の役割分業に対して、どのように考えていますか?

ryuchell こればかりは、若い人が政治に関わっていかないといけないのかなと思います。若い人がどんどん積極的に発信しないといけないと感じますね。違う世代を生きてきた人に、新しい考え方を強要するのも違うだろうし。「新しい世代の常識はこうなっているんですよ」ということを、若い人たちが見せていかないといけませんよね。

 僕はメディアに出るときは、ぺこりんのことを「パートナー」って呼んでいます。「なんでいちいちパートナーって呼んでるんだろう」って思った人がもし背景を調べてくれたら、「そういうことか」って分かってくれたりもするでしょう。そこでようやく人って気づけると思うんです。

 「奥さん」という言葉を使っている人にも、悪気はないと思います。あえて言っている人はいない。でも、そういう言葉によって傷ついている人はいる。「あ、この言葉で、傷ついている人がいるんだ」ということを知るきっかけづくりが必要ではないでしょうか。

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