共有はしても、強要はしない

―― 新著に「言葉はできるだけフワフワさせる」とありました。これは具体的にどうすることを指すのですか?

ryuchell 僕自身、誰かに「これは絶対こうだよ」って何かを押しつけられるのが好きじゃないんです。だから、SNSにも、何かを断定する文章ではなく、ポエムっぽい内容を投稿しています。YouTubeでも「何か結果を教える人」ではなく、「きっかけを与える人」でいたいんです。「僕はこういう経験をしました。こう思いました。でもみんな人それぞれだよね。みんなはどう思う?」って、あくまでも疑問を投げかけるだけにとどめる。物事っていろいろな角度から見ないといけないし、いろいろな角度から見ると、○か×かを簡単には決めづらくなりますよね。自分の意見は言っても「これが一番正しい」と強要はしない。共有はしても、強要はしません。

怒りが収まらないときは、スマホのメモ帳に思いを吐き出す

―― 誰かに何かを言われて、どうしても怒りが収まらないときはどうしていますか?

ryuchell 自分で負の感情を持つと、「自分って性格悪いのかな」って思ってしまう人もいるかもしれません。でも、負の感情を持つのは自然なこと。そんなときは、自分の中から外に、その負の感情を吐き出してしまったほうがいい

 「あの人のことがめちゃくちゃ嫌い」「むかつく」っていう負の感情をため込んでいると、感情が収まらないし、忘れることもできない。

 僕はそんなとき、スマホのメモ帳アプリに、今ここでは口にできないぐらいの文章を、思うままに書き出します。この世の中に対する思いとか、仕事に関しても全員敵に見えるときも、ぶわーっと自分の思いを全部書き出すんです。

―― ryuchellさんにも、そんなときがあるんですか?

ryuchell あります、あります。だからこその本のタイトルです(『こんな世の中で生きていくしかないなら』)。そうやってメモすることで、とりあえず自分の負のエネルギーを外に出す。こうして、僕の場合はスマホに思いを預けます。

 スマホに打ち込むのではなく、SNSの裏アカウントに書いてもいいだろうし、運動して汗で出してもいいし、たばこを吸って煙で出してもいいし、お酒を飲んで吐いてもいいと思うんです。僕の場合は1週間ぐらいたってから自分の書いたメモを、「このとき、そういうふうに思ってたわ」って読み返すんです。そして、消去する。これを繰り返していると、またいつか気持ちが落ちてしまったときでも、「また前回と同じように、このつらさを抜け出すことができるはず」って自分の中で思えて、ちょっと強くなれたりします。もし吐き出さずにいたら、ずっと心の中にため込んでいるのではないかなと思います。

負の感情を持ったとき、ryuchellさんはスマホのメモ帳アプリにとにかく書き出すそう(画像はイメージです)
負の感情を持ったとき、ryuchellさんはスマホのメモ帳アプリにとにかく書き出すそう(画像はイメージです)
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