2021年6月10日発売の『早く絶版になってほしい #駄言辞典』(以後、『#駄言辞典』)。ジェンダーにまつわるステレオタイプから生まれる400を超える「駄言」を、エピソードとともに紹介している本書から、駄言の実例とその駄言を生んでいる背景の分析を紹介します。第2回のテーマは「女性らしさ」に関する駄言とその要因です。

「就活は女性らしくスカートで」

就職活動中、女性はリクルートスーツのスカートを着用すべきだという暗黙のルールがある。最近では、そうした固定観念に縛られない企業も出てきている
就職活動中、女性はリクルートスーツのスカートを着用すべきだという暗黙のルールがある。最近では、そうした固定観念に縛られない企業も出てきている
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 書籍『#駄言辞典』を制作するに当たって公募したところ、ツイッターとウェブ上フォーマットに、合計約1200個の駄言が投稿されました。中でも目立ったのは「女性らしくない」「女のくせに」といった性別による行動規範に関する駄言でした。

 「女性は女性らしく振る舞うべきだ」という考え方を時代錯誤と感じる人は多いでしょう。しかし、これは「嫌な発言なのでやめてほしい」というモラルやマナーの話にとどまらないテーマです。さまざまな資料を探っていくと、この問題が日本の社会全体や法律の歴史にも根ざしていることが分かってきます。私たちは、そのことにまず気付く必要があるのです。

 さて、日本の社会に、「女性は女性らしく、男性は男性らしく」というジェンダー規範が広く浸透したのは、いつ頃からなのでしょうか。

「女らしさ」の背景には戸籍法や旧民法の存在がある

 「女らしさ」を準備した背景の一つに、1871年(明治4年)に制定された戸籍法や1898年(明治31年)に交付・改編された旧民法があります。戸籍を編成するに当たり、明治政府は父親とのつながりを重視しました。また、旧民法で定められた家制度によって、妻は結婚すると夫の家に入り、その家の姓を名乗るなど、男性が権力を持つような社会構造がつくられたのです。それと同時に「良妻賢母教育」が進められ、女性の行動が制限され、「女らしさ」が押し付けられるようになったと考えられます(参考:『女性差別はどう作られてきたか』集英社新書)。


【書籍情報】
ジェンダーにまつわる
アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)による
1200もの「駄言」が教えてくれたものとは?


早く絶版になってほしい
『#駄言辞典』

編集:日経xwoman
発行:日経BP
定価:1540円(10%税込)
 Amazonで購入する

【目次】
・駄言とは?
・まえがき
・第1章…実際にあった「駄言」リスト
 女性らしさ/キャリア・仕事能力
 生活能力・家事/子育て
 恋愛・結婚/男性らしさ
・第2章…なぜ「駄言」が生まれるか
 スプツニ子!/出口治明/及川美紀
 杉山文野/野田聖子/青野慶久
・第3章…「駄言」にどう立ち向かえばいいのか
・あとがき

続きを読む 2/4 両性は「平等」になったはずなのに

この記事はシリーズ「職場で、家庭で聞いた。言われた。心をくじく駄言」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。