暗号資産(仮想通貨)や、そこから派生したデジタル資産の動向を紹介する本連載。前回「『つぶやき3億円』はマネーゲーム? ブーム去る『NFT』の真価」は、デジタルコンテンツの所有権を販売できるようにするNFTの動向をまとめた。今回は、1年半で流入資産が100倍に達した「DeFi(分散型金融)」の実像と、将来の可能性を見ていく。

 2021年に入って急激に話題になった「NFT(非代替性トークン)」。これに対し、20年から投資マネーが一気に流れ込んでいる分野がある。「DeFi(Decentralized Finance:分散型金融)」と総称される金融サービスだ。

 20年初めに7億ドル弱だったDeFiへの流入資産総額は、9月に100億ドルを突破。翌21年はさらに勢いづき、5月には約860億ドルに達した。足元では仮想通貨価格の下落とともに価値が目減りしているが、それでも600億ドル程度。20年初めと比べれば約100倍の水準だ。

 DeFiとは何なのか。銀行や証券会社などが提供するような金融サービスを、ブロックチェーン上で動くプログラムによって構築したものだ。例えば、資産を貸し付けるレンディング。これまでであれば、銀行が貸したい人と借りたい人の間に入り、返済能力を個別に審査して融資を実行していた。

 DeFiでは、プログラムが銀行の役割を担う。あらかじめ決められたルールに従い、担保に応じて仮想通貨を貸し付ける。資産を預ける人たちに支払う利子もルールに基づいて自動で決定する。そのルールはインターネットで公開されている。銀行や証券会社のような管理者がいる中央集権型と対比して「分散型」と呼ばれている。

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 「国籍や身分、資産の多寡に関係なく、従来の金融システムの恩恵を得られなかった人に対する『金融包摂』が実現できる」。Kyber Network日本のマーケティング責任者、堀次泰介氏はDeFiが注目を集める理由をこう分析する。銀行が個人情報や資産規模に応じて口座の開設や融資ができるかを審査するのに対し、インターネットさえあれば誰もが自由に金融サービスを利用できるからだ。

 既存の金融機関のような管理者が不在で中間コストが抑えられるため、暗号資産をDeFiに預けると年5~10%といった高い利回り収入が得られる点も魅力だ。

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