暗号資産(仮想通貨)や、そこから派生したデジタル資産の動向を紹介する本連載。前回「10億円稼いだ投資家の『落胆』 仮想通貨10年史」は2008年の1本の論文から始まった仮想通貨がどのような歴史をたどったかを振り返った。その仮想通貨を支える基盤である「ブロックチェーン(分散型台帳)」は、別の用途でも使われつつある。その1つが「NFT(非代替性トークン)」。ツイッター創業者のつぶやきに3億円の値がつくなど、マネーの新たな流入先になっている。その真価とは。

 プロバスケットボール選手のダンクシュート動画に2300万円、ツイッターのつぶやきに3億円、デジタルアートには75億円――。2021年、NFT(非代替性トークン)と呼ばれる技術を使ったデジタルコンテンツの販売に多額のマネーが流れ込んだ。

NFTを活用するデジタル版トレーディングカード「NBA Top Shot」では、カードをマーケットプレイスで売買できる(写真:ユニフォトプレス)
NFTを活用するデジタル版トレーディングカード「NBA Top Shot」では、カードをマーケットプレイスで売買できる(写真:ユニフォトプレス)

 NFTは、そのコンテンツと関連付けた「唯一無二」のデジタルデータの所有権を取引するものだ。ビットコインなど仮想通貨の歴史で磨かれたブロックチェーン技術の新しい応用先だ。カナダ・ダッパーラボが、バーチャル空間で子猫を育てるゲーム「CryptoKitties(クリプトキティーズ)」の利用者たちの間で子猫のデータを取引できるように導入したのが始まりとされる。

 NFTには、これまで資産として捉えるのが難しかったデジタルコンテンツを資産化できる可能性をもたらした意味がある。絵画や彫刻といったリアルの作品であれば、実際にそれを所持していることが裏付けとなる。では、複製ができてしまうデジタルコンテンツの所有を何で裏付けるか。そこにブロックチェーンを応用したわけだ。需給で価格が決まる仮想通貨に対し、NFTではコンテンツに対する人気や将来見込まれる売却価格などから価格が決まっていく。

 NFTへの注目を背景に、デジタルコンテンツのビジネスとは縁が薄そうな企業も参入してきた。「我々の最新のプリングルズ『クリプトクリスプ味』を紹介しよう」。3月18日、ポテトチップス「プリングルズ」の公式ツイッター上で、50個限定のNFTが発表された。バーチャルな商品で現物はないにもかかわらず、即日完売した。

 取引価格が高騰して話題を呼んだNFTは海外発のものが多いが、国内でも期待が膨らんでいる。仮想通貨の取引所で実績があるコインチェックのほか、LINEやGMOインターネット、メルカリなどが続々とNFT関連事業への参入を表明した。

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