暗号資産(仮想通貨)や、そこから派生したデジタル資産の動向を紹介する本連載。影響力のある人物や企業の言動で価値が大きく揺らいでしまう現状を分析した第1回「イーロン・マスク氏の手のひらで踊ったビットコイン」に続く今回は、中米のエルサルバドルが下した、ビットコインを法定通貨にするという決断について分析する。

ビットコインを法定通貨として認めたエルサルバドルのブケレ大統領(写真:Camilo Freedman/SOPA Images via ZUMA Wire/共同通信イメージズ)

 代表的な暗号資産(仮想通貨)である「ビットコイン」。2021年6月8日は、その歴史の1ページに刻まれる日となった。

 中米エルサルバドル(グアテマラの隣に位置し、太平洋に面する国)で、ビットコインを法定通貨にする法案が可決されたのだ。ビットコインが法定通貨になるのは世界で初めてのこと。同国のブケレ大統領は同日、「History! (歴史的だ)」とツイート。仮想通貨を支援する人たちの人気者になりつつある。

 「非公式に就労する多くの人々の『金融包摂』につながる」。ブケレ大統領はこう主張する。国民の約7割が銀行口座を持っていないのがエルサルバドルの現状。インターネットにさえ接続できれば銀行口座がなくても使えるビットコインなどの仮想通貨は、従来の金融システムの恩恵を受けられなかった人にとって、一見すると使い勝手がよいものといえる。

 まず想定されるのは送金用途だ。国内の治安悪化や貧困を背景に多くの国民が米国に移住したエルサルバドル。国外からの送金額は20年に59億ドルに上り、国内総生産(GDP)の約2割を占める。そうした背景もあり、法定通貨に米ドルを採用してきた。今回の法案通過によってビットコインが加わる形だ。

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