取り締まる仕組みがない

 投資対象としての地位が向上しかけていたビットコインに、マスク氏の言動が冷や水を浴びせた。かつてテスラの上場廃止の可能性についてツイートし、米証券取引委員会(SEC)から訴えられたマスク氏。和解後、経営に関する内容は弁護士の確認の上でツイートすることになったが、仮想通貨については奔放なツイートを続けている。

 マスク氏がこうした乱高下を意図していたかどうかは分からない。ただ、明白になったことがある。影響力のある個人の発信で仮想通貨市場が大きく揺れること、そして、それを取り締まる仕組みがないことだ。

 仮想通貨の「筆頭」であるビットコインですら、1人のカリスマの言動で大きく変動した。時価総額が小さければなおさらだ。柴犬がモチーフの「ドージコイン」。年明けからマスク氏が同コインに言及するたびに価格が急騰し、一時は年初から150倍の値をつけた。

 通貨としての信頼を担保できず、人より安く買って高く売ることでもうける「投機」の対象でしかない。仮想通貨のそんな限界を、図らずもマスク氏があぶり出した。

 「リスクが高い」――。バーゼル銀行監督委員会は6月10日、銀行が仮想通貨を保有する場合は損失に備えて資本を積み増さなければならないとする新たな規制案を出した。

 「採掘者によるクリーンエネルギーの合理的な使用が確認でき、将来のポジティブなトレンドが見られれば、テスラはビットコインによる決済の受け付けを再開するだろう」。マスク氏は13日、ツイッターにこう書き込んだ。これを受けてビットコイン価格が反発し、10%ほど上昇した。マスク氏のような人物の言動次第で資産価値が大きく揺らぐ状況はしばらく変わりそうにない。

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