テスラの決済中止で10%下落

 潮目が変わったのもテスラの動きがきっかけだった。2.7億ドル相当のビットコインを売却していたことが4月26日に判明したのだ。「テスラはいつ売り逃げるか分からない」。そんな疑心を市場参加者に植え付けた。

 そして、5月13日のマスク氏のツイートが決定打となった。「ここ数カ月の電力使用量は狂気だ(insane)」として、テスラでのビットコイン決済の中断を突如発表したのだ。ビットコインはこの日、5万ドル近辺まで10%以上下落。

 その後価格急落を受けて注文が殺到し、米コインベース・グローバルなど主要な交換業者が一時的に取引不能に陥ったことも手じまい売りを誘発した。さらに米国や中国でビットコインの採掘(マイニング)や取引への規制が浮上したことで、ビットコインはピーク時の半値程度まで下がった。マスク氏は6月4日、「#Bitcoin」にハートが割れた絵文字をツイートした。

イーロン・マスク氏のツイッターでの発言がビットコイン価格に影響を及ぼした
イーロン・マスク氏のツイッターでの発言がビットコイン価格に影響を及ぼした
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 この春まで、ビットコインは「新たな局面に入った」との見方が強まっていた。米決済大手のペイパル・ホールディングスが仮想通貨支払いを開始するなど決済利用の拡大が期待されるのに加え、大手金融機関が資産運用でビットコインを使う動きが広がっていたからだ。主要国の大規模な金融緩和が続く中、既存通貨の価値下落をヘッジするための選択肢という位置付けだ。

 世界最大の資産運用会社、米ブラックロックはビットコイン先物の取引を始め、米ヘッジファンド運営のブリッジウォーター・アソシエーツの創業者レイ・ダリオ氏は5月、ビットコインを保有していると明らかにしていた。

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