2021年1月から暗号資産(仮想通貨)についてツイッターに度々書き込むようになった米テスラを率いるイーロン・マスク氏。ビットコインに代表される仮想通貨の価格は、マスク氏の書き込みのたびに価格が乱高下した。年初からの急騰と、ここ1カ月ほどの下落から見えてきたものとは。

(写真:Shutterstock)

 「Expect us.(覚悟せよ)」――

 6月5日、ユーチューブ上に投稿されたある動画の再生回数が、3日もたたないうちに220万回を超えた。ハッカー集団「アノニマス」を名乗る投稿者は、動画の中で電気自動車(EV)メーカー、米テスラのイーロン・マスク氏を強烈に批判。マスク氏のツイッターへの書き込みで暗号資産(仮想通貨)市場が混乱し、勤勉な一般の人たちの人生を破壊したと主張した。

 投稿者が本当にハッカー集団なのかどうかはさておき、マスク氏の言動が最近の仮想通貨の価格を大きく左右してきたのは間違いない。あたかも、マスク氏の手のひらで転がされているようだった。

「現金に比べればまし」

 発端は2021年1月29日。マスク氏がツイッターのプロフィル欄に「#bitcoin」と記載したのだ。世界で5600万人以上がフォローするマスク氏の影響力は大きく、3万ドル台前半だった価格は4万ドルに近づいた。

 2月8日にはテスラがビットコインを15億ドル相当購入していたことを開示。同時にテスラ車をビットコインで買えるようにする方針も明らかにした。さらに同月19日に「現金に比べればましな流動性の形態」だとツイートしたことでビットコイン価格が急騰。時価総額が初めて1兆ドルに達した。

 「マスク氏の発信に注意しなければいけない」。こんな雰囲気がビットコインなどの仮想通貨の取引を手掛ける投資家の間に広がり始めた。3月に一度価格が下がっても、今度はテスラがビットコインでの決済受け入れ開始を発表したことなどで再び反発した。マスク氏は4月1日、「宇宙開発のスペースXはビットコインを月に置いてくるつもりだ」とツイート。同月14日にビットコイン価格は6万5000ドル近くの最高値を記録した。

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