ソニーグループのゲーム事業の好調ぶりを支える1つの理由が、ネット上で根付いた「ゲーム実況」だ。そんな中、お笑い芸人の狩野英孝さんは2020年の初めにゲーム実況動画の配信を始めると、4月にはとあるきっかけでゲーム実況者としてもブレーク。5月にはCyberZ(東京・渋谷)が運営する動画配信プラットフォーム「OPENREC.tv」でも動画配信を始めた。狩野さんにゲーム、そしてゲーム実況に対する思いを聞いた。

お笑い芸人。1982年生まれ、宮城県出身。マセキ芸能社所属。2003年から本格的に芸人として活動を始めると07年ごろから「ナルシストキャラ」で一躍ブレーク。現在はゲーム実況動画の配信でも人気を集めており、ゲームエイジ総研(東京・渋谷)による20年のゲーム実況者ランキングでは、女優の本田翼さんを上回り8位に入った。「YouTube」の公式チャンネルの登録者数は100万人を超える(写真:的野弘路)
「OPENREC.tv」や「YouTube」でゲーム実況の配信を始めるまで、狩野さんにゲームのイメージがあまりありませんでした。
狩野英孝さん(以下、狩野さん):子どもの頃からゲームが大好きでした。親にゲーム機を隠されるくらいね。小学生の時は(任天堂の)「スーパーファミコン」、中学生になると(ソニーの)「プレイステーション」で遊んでいました。思い出深いのが、中学2年くらいの時に発売された「バイオハザード」。僕も買ってプレーしたんですけど、怖くて途中でギブアップした記憶があります。
大人になり、芸人になってからも遊んでいました。でもハマると呪われたかのようにやり続けてしまうんです。仕事の集合時間の数時間前まで寝ずにやってしまったり、睡眠にあてるはずの移動時間もやってしまっていたり……。
一時期、「プレイステーション・ポータブル(PSP)」の「モンスターハンター」にすごくハマっていたんです。当時は飛行機内でゲーム機が使えない時間がありました(注:離着陸時に使用できなかった。現在は「機内モード」であれば使用可)。それでわざわざ福岡への航空券をキャンセルし、新幹線で何時間もかけて仕事場に向かったこともありました。
そんなある日、山口県に仕事で行くことになりました。そのときも航空券をキャンセルして新幹線で向かっていたんです。その間に眠くなってPSPの電源を切ってカバンに入れて寝ていた。岡山あたりで目覚めると、そのカバンが座席上の収納棚にも足元にもなかった。置き引きに遭ってしまったんです。
ショックだったのは財布や免許証がなくなったことじゃありません。何百時間もかけて育てた「モンハン」のプレーデータがなくなってしまったこと。今みたいにクラウドに保存できないですから。「やられたな」と。「いいきっかけだ」と思って、一度ゲームをやめたんです。
それが新型コロナウイルス禍の「ステイホーム」の機運もあって再びゲームを手に取った。
狩野さん:実際は、その前からちょこちょこやっていたんですけどね。「プレイステーション4(PS4)」に「3on3 FreeStyle」(16年配信開始)というバスケットボールのゲームがあります。世界の人たちとネット上で3対3で遊ぶんですが、課金すればするほど新しい技を早く覚えるんです。クレジットカードの明細を見て「こんなに課金したのか」とびっくりしたこともあります。
他にも1人で「東京ゲームショウ」に行って新キャラクターを見たり、新しいゲームを体験したり……。そんなときに、新型コロナの感染が拡大していったんです。ちょうどその頃、YouTubeの公式チャンネルも立ち上げたので、せっかくだからゲーム配信をやってみようと。これが実況を始めたきっかけです。でも実は、それまでほとんどゲーム実況を見たことがなかったんです。
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