2021年3月期の純利益1兆円超えを通過点に、さらなる成長を目指すソニーグループ。顧客基盤を現在の1.6億人から10億人に高める計画を掲げるが、戦略をひも解くと浮き彫りになるのは「手堅さ」だ。パーパスに掲げる「創造力」も「技術」も備わった今、さらなる飛躍に必要なピースは何か。

 「スパイダーマン」や「メン・イン・ブラック」などのヒット映画を生み出したソニーグループの映画子会社、ソニー・ピクチャーズエンタテインメント(SPE)。本社を置く米カリフォルニア州カルバーシティーにいる特命チームが、映画関係者の注目を集めている。

米カリフォルニア州カルバーシティーにあるソニーグループの映画子会社、ソニー・ピクチャーズエンタテインメントの本社

 「プレイステーション・プロダクションズ」。2019年春にゲーム子会社であるソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)が立ち上げた。使命は家庭用ゲーム機「プレイステーション」で人気の自社制作ゲームタイトルを基に映画やテレビ番組を制作すること。SIEが主導する形で企画を立案し、SPEが実際の撮影を進めて映画館などへ配給する。

 ゲーム作品の映画化は業界にとって長らく「鬼門」とされてきた。世界観を再現できなければ、ゲームファンの失望を招きかねない。今回のチーム発足を機に、SIEとSPEは過去の失敗の分析を含めて徹底的に議論。「物理的に近い位置にあるため、同じビジョンと目標を持つチームとしてシームレスに連携できる」。プレイステーション・プロダクションズのトップであるアサド・クズルバシュ氏は効果を語る。

 発足から約2年だが、すでに10作の映画・テレビ番組制作が進行中だ。22年2月には人気のアドベンチャーゲーム「アンチャーテッド」の映画公開を控え、急ピッチで上映準備が進む。

 「今後も『感動』の軸、感動の主体であるクリエーターとユーザー、『人に近づく』という方向性は変わらない」。21年3月期に初の純利益1兆円超えを達成したソニー。吉田憲一郎会長兼社長CEO(最高経営責任者)は、今後の成長戦略で、これまでの経営方針を継続していく考えを示している。

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