ソニーグループは今年9月、自社開発のドローン「Airpeak(エアピーク)S1」を発売する。ハードとソフトを融合させ、最新技術のど真ん中で勝負を挑む。2021年3月期に純利益1兆円超えを果たした復活の象徴といえそうだ。

JR中央線の三鷹駅からクルマで約10分。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の調布航空宇宙センター(東京都調布市)に今年初め、ある飛行物体が運び込まれた。国内最大の風洞施設で飛行性能を確かめるためだ。
その名は「Airpeak」。ソニーグループが開発したドローンだ。13個のセンサーで機体の位置や姿勢などを確認しながら自動飛行でき、ミラーレス一眼カメラを搭載して高精細な空撮映像を撮影できるのが特徴だ。
JAXAの風洞施設では、人が立つのも困難な秒速20mの風を人工的につくり出し、Airpeakの飛行性能をテストした。
結果は上々。強風でも焦点をぶらさず高精細映像を撮影することに成功した。ソニーで開発を主導した川西泉執行役員は「安定性や加速などの飛行性能ではライバルに負けていない」と力を込める。

ソニーは9月、第1弾商品となる「Airpeak S1」を発売する。映像制作のプロを中心に売り込み、市場想定価格は110万円。すでに米国の複数の映画制作会社から引き合いが来ているという。
王者DJIに真っ向勝負
Airpeakの開発スタートは2018年。犬型ロボット「aibo(アイボ)」のチームが母体となり「要素技術を自社でゼロから作り上げた」(川西執行役員)。独自性にこだわり新領域に挑戦する姿は、読者の多くが思い描く「ソニースピリッツ」を彷彿(ほうふつ)とさせる。
だが、ドローン市場には中国DJIという巨人が立ちふさがる。特にプロ用途では圧倒的なシェアを誇り、業界標準と呼べる存在だ。
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