限られた予算で「顔」をつくる

 今回のリニューアルの総事業費は100億円。巨額に見えるが、USJやTDRならアトラクションを1個つくれるかどうかという金額だ。限られた予算で商店街をつくり、レッツゴー!レオランドと、ゴジラ・ザ・ライドを開発した。遊園地の「顔」となるパーツをつくり込みながら、往年の遊具など、園内の大部分はそのまま活用することで、投資額を大きく抑えたのだ。

 西武園ゆうえんちには、としまえんのスタッフも合流し、混成チームで開業準備に取り組んできた。コロナ禍による入場制限を加味しても、出足はリニューアル前を大きく上回る入り込みで、むしろ採用を強化しているほどだ。

 この夏は、園内の広場に特設ステージを設け、眼前に迫る近さで花火を打ち上げる「大火祭り」を開催し、大きな話題となった。とがった顔があれば、予算が潤沢でなくても、立地が不利でも、客は呼べるということを証明した。

盛大な花火で話題をさらった「大火祭り」
盛大な花火で話題をさらった「大火祭り」

 高度経済成長期に日本各地で遊園地やレジャー施設は爆発的に増えた。しかし、バブル崩壊後は減少の一途をたどり、生き残った施設も慢性的な集客減に悩まされてきた。そこに新型コロナウイルスの感染拡大が追い打ちをかけた。

 生まれ変わった西武園ゆうえんちは、そんな悩める集客施設の再生に向け、大きなヒントを与えてくれる。変えるべきところは変え、残すべきところは残す。その代わり、全体を貫くストーリーや世界観をつくり込み、SNS時代だからこそ、ライブ感やリアルな体験を押し出すという方向性だ。

 「西武園ゆうえんちは、エンターテインメントの最前線であり、マーケティングを学べる最前線に変わった。ここ所沢で新たな雇用を生み、地域にお金が落ちる、持続可能な事業モデルをつくることができれば、うちでもやれるんじゃないかと思ってくださる地方の遊園地が増えるかもしれない。ゲームチェンジャーのような存在になれたら、とてもうれしい」(久保田氏)。さびついていた時計の針が、未来に向けて動き出した。

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