「値上げしません!年内価格凍結!」

 黄色地に黒の太字で力強く書かれた店頭販促(POP)が、食料品売り場の一角を占拠する勢いで張られていた。

イオンスタイル幕張新都心では「値上げしません!年内価格凍結!」の店頭販促が、食料品売り場のあちこちに踊っていた
イオンスタイル幕張新都心では「値上げしません!年内価格凍結!」の店頭販促が、食料品売り場のあちこちに踊っていた

 イオンの本社にほど近い「イオンスタイル幕張新都心」(千葉市)。JR海浜幕張駅に最も近いエントランスから入ると、真っ先に特設コーナーが目に飛び込んできた。並んでいたのは、お好み焼き粉やたこ焼き粉、レギュラーコーヒー、5個パックの「新潟県産コシヒカリごはん」や、「とけこみビーフカレー」といった商品である。

 イオンは2021年9月13日、プライベートブランド(PB)「トップバリュ」の食料品の大半を、年内、つまり21年12月31日まで値上げしないと表明した。

 トップバリュの食料品は約3800品目あり、このうち、生鮮食品や米、総菜、酒、ギフトなどを除く約3000品目で価格を据え置く。対象店舗は、イオン、イオンスタイル、マックスバリュ、ダイエー、まいばすけっとなど、全国のグループ約1万店舗にも及ぶ。

エントランスを入ってすぐ、目の前に設けられた特設コーナーの一角
エントランスを入ってすぐ、目の前に設けられた特設コーナーの一角

 題して「いまこそ!年内価格凍結宣言」。なぜ、このタイミングを「今こそ」と判断したのか。

 「私たちもこれまでに経験したことがないレベルで、原材料が高騰している。それが食料品の値上げにつながっている」(イオン執行役商品担当の西峠泰男氏)

「値上げドミノ」に追随しない

 世界的な異常気象や天候不順、海上運賃の上昇、コロナ禍から回復した中国での需要増加など、幾多の要因が絡み合い、原料高は止まらない。脱炭素の波に乗るべく、欧米各国がバイオ燃料の生産を増やす方向にシフトする中、その原料となる大豆、菜種、パーム油は、とりわけ需給が逼迫している。

 実際に食用油は「値上げドミノ」の様相を呈している。日清オイリオグループ、J-オイルミルズ、昭和産業の大手3社は11月1日納品分から、それぞれ家庭用で1キログラム当たり30円以上値上げする。3社とも、この4月以降で4度目の値上げという異例のペースだ。同じく大豆油や菜種油を原料とするマヨネーズやマーガリンも、大手メーカーが次々と価格引き上げを発表している。

 油脂製品だけではない。小麦、砂糖、コーヒー豆などの国際相場も上がっており、小麦粉やパスタ、洋菓子、和菓子、コーヒーなど、さまざまな商品で原材料高騰分の価格転嫁が進んでいる。

 イオンは、こうした状況を受け、自社で企画・開発する商品に関しては、あえて値上げドミノに追随しないという決断を下した。

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