
映像は、横長画面で見るもの――。果たして、そうだろうか。縦長画面で見たほうが、迫力も、臨場感も増すのではないか。そんな発想から生まれ、動画サービスの世界に、新風を吹き込んだサービスがある。
スマートフォンでの視聴に特化し、5~10分程度の短尺動画を配信するバーティカル(縦型の)シアターアプリ「smash.(スマッシュ)」だ。2020年10月22日のサービス開始から約8カ月、21年6月に100万ダウンロード(DL)の大台を超えると、同7月11日には約122万DLまで積み上げた。
「手のひらを特等席に」未知のBTSを独占配信
大台突破を後押ししたのは、韓国発7人組アーティストBTSのオリジナルコンテンツである。21年6月18日以降、毎週金曜日に最新動画を公開中。日本のみならず、韓国、米国にも同時配信しており、右肩上がりで視聴者数が伸びている。
人気の秘密は、そのコンテンツの中身にある。縦型のスマホ画面をフルに生かし、息遣いまで聞こえてきそうなほど、どアップでメンバーたちの素の表情を映し出した。ピンクやブルーのネオンがきらめく仮想都市「smash. city」で24時間、さまざまな時間軸でメンバーのプライベートをのぞき見るというコンセプトで、ライブやミュージックビデオで見るクールなBTSとは異なる、新しい魅力を引き出したのだ。
動画の公開に合わせて全国放映したテレビCMは、新しい視聴体験であることを前面に押し出した。「ここにはまだ知らないワクワクが詰まっている」。そんなナレーションとともに、BTSのメンバーたちが歩き出す。大ヒット中の新曲「Butter」に乗せて、休日を思い思いに過ごすメンバーたちを縦型で切り取った動画が、スライドショーのように流れていく。

このsmash.を仕掛けたのは、ライブ配信プラットフォーム「SHOWROOM」を運営するSHOWROOM(東京・渋谷)だ。前田裕二社長が目指したのは、手のひらを“特等席”に変えることだという。
この記事は会員登録で続きをご覧いただけます
残り4358文字 / 全文5236文字
-
有料会員(月額プラン)は初月無料!
今すぐ会員登録(無料・有料) -
会員の方はこちら
ログイン
日経ビジネス電子版有料会員になると…
特集、人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題
ウェビナー【日経ビジネスLIVE】にも参加し放題
日経ビジネス最新号、10年分のバックナンバーが読み放題
この記事はシリーズ「酒井大輔のトレンドストーリー」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
Powered by リゾーム?