契約書に潜む「見えないリスク」を、AI(人工知能)が洗い出して可視化する――。現役の弁護士が作り上げたサービスが企業法務の現場を変えようとしている。企業価値は1年で5倍超に躍進した。

 A社と交わす予定の秘密保持契約書。第1条「秘密保持」では秘密情報とは何かを定義した後、例外が設けられていた。

 「ただし、以下の各号に該当する情報は、秘密情報に該当しない。
 (1)開示された時点において、既に公知であった情報
 (2)開示後に公知となった情報(ただし、自己の責に帰すべき事由により公知となったものを除く。)
 (3)開示された時点において、既に自ら保有していた情報
 (4)正当な権限を有する第三者から取得した情報
 (5)秘密情報と関係なく独自に開発した情報」

 ともすれば、読み飛ばしてしまうかもしれない。しかし、ここに「見えないリスク」が潜んでいる。例えば、第4号の記述は、十分な内容とはいえない。

 「秘密情報から除かれる『第三者から取得した情報』が限定されていません」
 「正当な権限を有する第三者から『守秘義務を負わずに』『適法に』取得した情報に限定する必要があります」

リーガルフォースは契約書をアップロードするだけで、修正すべき点を指摘してくれるサービスだ
リーガルフォースは契約書をアップロードするだけで、修正すべき点を指摘してくれるサービスだ
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 こうした指摘を瞬時に投げかけるサービスが今、急成長している。「LegalForce(リーガルフォース)」だ。

 契約書をアップロードするだけで、AIがその中身を読み解く。こちらに不利となる条項や、抜け、漏れがある箇所を洗い出し、修正例まで示してくれる。その間、わずか数秒。2019年4月に正式版をリリースし、企業の法務部や法律事務所を中心に、契約数は1500社を突破した。

 このサービスを開発・提供するリーガルフォース(東京・江東)の社員数は過去1年間で約2.5倍となり、300人を超えた。日本経済新聞社が調べた推計企業価値は310億円(21年9月末時点)と、前年の5.74倍に。企業価値の年間増加率ランキングでは2位に食い込んだ。

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