「DXを果たしたコンビニ」としてのアマゾン・ゴー

 ここでは「理想の世界観」実現ワークシートによる分析例として、「DXを果たしたコンビニ」であるアマゾン・ゴーを取り上げてみましょう。

 私は、コンビニの本質は「便利」で「おいしい」だと考えています。そしてアマゾン・ゴーはその本質を見事にアップデートしたものだと私は評価しています。

 便利については、「商品を手に取って立ち去るだけで買い物が完了」する点を指摘すれば十分でしょう。ゲートにスマホをかざしてアマゾンIDを認証させて入店したら、陳列棚から商品をピックアップし、立ち去るだけで買い物が終了。アマゾンはこれを「ジャスト・ウォーク・アウト」と表現しています。もはや買い物をしていること、支払いをしていることすら顧客に感じさせないのです。

 しかしアマゾン・ゴーが「おいしい」もアップデートさせたものである点は、まだ一般に認識されていないようです。私がアマゾン・ゴーを視察して最も驚いたのがこの点です。

 まずアマゾン・ゴーは無人どころか超有人店舗でした。シアトルにある1号店を通りからのぞくと、見えるのはガラス張りのオープンキッチンです。そこでは何人ものスタッフがサラダやサンドイッチを調理しているのが見えました。

 それを見て私は直感しました。アマゾン・ゴーは確かにアマゾンが誇る最新テクノロジーの結晶です。しかしその実態は、「デジタル化を推し進めてもなお、最後の最後まで人に残る仕事(人がやるべき仕事)」を示す店舗でした。

 おそらく現時点でも「ロボットが作ったサンドイッチ」は十分においしいはずです。しかし、人が望むものは、見えないところでロボットが作ったサンドイッチよりも、自分に見えるところで人が作った、手作りのサンドイッチでしょう。そのサンドイッチこそを「おいしい」と人は思うのではないでしょうか。アマゾン・ゴーは、そのことを示唆していました。

【現状の課題】:コンビニ
現状のコンビニは、利便性のよい立地に位置しているのが強みですが、だからこそ時間帯によっては大混雑します。また、商品戦略などは、各コンビニチェーンが同質化競争に陥っています。

【理想の世界観】:アマゾン・ゴー
コンビニの本質である「便利×おいしい」を、デジタルと人を駆使してアップデートしました。「商品を手に取って立ち去るだけ」という利便性と、「その場で人が作る」おいしいサラダやサンドイッチを提供しています。

(出典:『世界最先端8社の大戦略 「デジタル×グリーン×エクイティ」の時代』327ページ)
(出典:『世界最先端8社の大戦略 「デジタル×グリーン×エクイティ」の時代』327ページ)

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