安っぽい? 偉ぶらない?

 敷地内に入る。南側の広場から見ると、建物の全景がきれいにフレームに収まる。完成予想図でイメージしていたよりも平べったい。

南側から見た全景。以下の写真は特記を除き、2019年12月15日の内覧会で撮影(写真:宮沢 洋)
南側から見た全景。以下の写真は特記を除き、2019年12月15日の内覧会で撮影(写真:宮沢 洋)
「国立競技場」と書かれた銘板の前が記念撮影ポイントとなりそう(写真:宮沢 洋)
「国立競技場」と書かれた銘板の前が記念撮影ポイントとなりそう(写真:宮沢 洋)
銘板と書いたが、実際には「板」ではなく、棒状の金属を2列に並べたもの。「版ずれ」のような視覚効果が面白い。(写真:宮沢 洋)
銘板と書いたが、実際には「板」ではなく、棒状の金属を2列に並べたもの。「版ずれ」のような視覚効果が面白い。(写真:宮沢 洋)

 連載第1回で「安っぽいとの声が続出」と書いた木材のルーバーは、この辺りから認識できるようになる。「ルーバー」というのは、板状の素材を、隙間を空けて並べたもの。筆者は権威主義的でなくて良いと思うが、感じ方は千差万別のようだ。

南側のEゲート(写真:宮沢 洋)
南側のEゲート(写真:宮沢 洋)

 このルーバーは、「日本が心を1つにする」という設計意図で、47都道府県から木材を調達してつくった。基本はスギで、スギが少ない沖縄県はリュウキュウマツを使った。

真下まで来ると木目がはっきりと認識できる。ビスの位置が分かる木の留め方が「スノコみたいで安っぽい」という感想も確かに分かるが、ビスを隠す留め方だったら木に見えなかったかもしれない(写真:宮沢 洋)
真下まで来ると木目がはっきりと認識できる。ビスの位置が分かる木の留め方が「スノコみたいで安っぽい」という感想も確かに分かるが、ビスを隠す留め方だったら木に見えなかったかもしれない(写真:宮沢 洋)

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