東京五輪で、“建築”として、特に注目してほしい競技施設とその見どころ、1964年に開催された前東京五輪との比較などを、写真とイラストを交え、5回にわたって紹介する。
(1)「幻のザハ案」があって実現した高コスパの隈流「国立競技場」
(2)1人の天才よりチーム力、東京五輪「3大アリーナ」の魅力
(3)代々木競技場は世界遺産級、まさに「レガシー」残した1964東京五輪
(4)新旧五輪施設プロセス比較、コロナで緩和された「がっかり感」
(5)無観客でも満席に見える 「未来予知」と話題の国立競技場を疑似体験
オリンピック・パラリンピックとも原則「無観客」での開催となり、隈研吾氏が設計の中心になった国立競技場が、「まるで無観客開催を予知していたかのようだ」とSNSがざわついている。当初予定では4回だったこの連載だが、5回目として、無観客となったことでかえって注目が高まっている国立競技場を、50枚の写真で疑似体験していただきたい。

筆者は2016年から19年末まで建築専門雑誌「日経アーキテクチュア」の編集長だったが、その後、独立し、現在は「画文家」という肩書で活動している。この5月には『隈研吾建築図鑑』というイラスト図解本を出版した。この記事も、補足的にイラストを使ってリポートする。

念のためおさらいしておくと、この施設の設計案は、ザハ・ハディド氏(1950~2016年)の案が安倍晋三前首相の一声で白紙撤回された後、コンペで選ばれた。大成建設・梓設計・隈研吾建築都市設計事務所共同企業体(JV)の設計・施工だ。
JR千駄ヶ谷駅方向から向かうと、こんな外観だ。最高高さ約47m。これでも十分巨大だが、白紙撤回されたザハ案は最高高さ約70mだった。



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