僕は今まで多くの受験生と関わらせていただいてきましたが、こういう人って非常に不合格になりやすいんです。ささいなケアレスミスが多かったり、先生が指摘してくれていた弱点を弱点のまま積み残してしまったりして、いつまでも成績が伸び悩むというケースが、かなりあります。

「他者評価」を嫌がる人は、伸びない

 藤井もそうですが、「素直に、自分のダメなところと向き合う」ことができない人の特徴に、「他者から評価を受けるのを嫌がる」ということがあります。模擬試験の結果を素直に受け止められないというのは、そうですよね。

 受験生にとって模試というのは、非常に役立つ、欠かせないツールです。模試は、自分のできないところを教えてくれます。自分がどこまでわかっていてできて、どこからできないのかを、データで教えてくれるわけです。そうやって「ここができてない!」とわかるから「ここを復習しよう!」「次に生かそう!」と思えて、成長して、今より頭のいい自分になれるのですよね。

 そんな模試の結果と向き合えないというのは、受験においては致命的な問題ですが、その問題の本質は、「他者から評価を受けるのを嫌がる」ことにあるのです。

評価をするのは、自分ではなく他人

 そもそも、受験でも仕事でも、自分の評価を決めるのは、自分ではありません。テストでは採点する人がいて点数が決まり、仕事では顧客や上司などの評価によって、自分の仕事の客観的な価値が決まるのですよね。「自分は頭がいい!」と思っていても、評価する人がそう思わなければ、不合格になりますし、「自分は仕事ができる!」と思っていても、顧客や上司がそう思わなければ、意味がないわけです。そうである以上、他者が自分のことをどう思っているのか、どう評価しているかというのは、耳を傾けるべき重要な情報ですよね。

 優れた経営者の話などを本で読むと、自分の哲学やアイデアを他者と共有し、フィードバックを得るということをしていたりします。自分の考えだけで突っ走って、独りよがりにならないように、他人に意見を求めて、自分の至らないところは修正していこうとしているのだと思います。

 一方で、つかみかけた成功が遠のいてしまう人というのもいて、その原因は、他者からの評価を嫌がることにある気がします。「自分の道は自分で切り開く!」という意気込みがあるのは素晴らしいことですが、だからといって「他人からどう思われたっていい!」と考えてしまうのは、どうかと思います。

 ……と、偉そうに書いてきましたが、性格が悪い藤井の姿は、かつての僕です。『ドラゴン桜2』の担当編集として、僕が三田紀房先生に「西岡壱誠は、なぜ2浪したのか」をプレゼンして生まれたのが、藤井というキャラクターです。

 『ドラゴン桜2』には、藤井の態度の悪さに、担任の水口先生がキレるシーンがあります。

『ドラゴン桜2』第12巻・92限目「本物の優しさ」©Norifusa Mita/Cork
『ドラゴン桜2』第12巻・92限目「本物の優しさ」©Norifusa Mita/Cork
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 授業中に他の教科の内職をする、ちょっと成績が上がっただけで鼻にかける、人をバカにする……。実はこれ、僕自身の現役生のときの態度です。やっぱりそれでは成績は上がらないし、東大合格なんてとても無理というのが、僕の実感です。今思うと、素直さ、謙虚さが足りなかったな、と反省します。

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