真面目な天野は、指がつって苦しみながらも、律義に100回やりきりました。一方、早瀬は、途中で適当にごまかしていて、実はやりきっていません。みなさんは、どうだったでしょうか。

 努力できるタイプがどちらかといえば、もちろん天野で、早瀬は努力できない脳の持ち主です。

努力が苦手な人は、損得勘定が強い

 先ほどの論文によれば、努力できるタイプとそうでないタイプの人では、脳にある次の3つの部位の働きが違うそうです。

⑴ 左線条体(ひだりせんじょうたい)
⑵ 前頭前皮質腹内側部(ぜんとうぜんひしつふくないそくぶ)
⑶ 島皮質(とうひしつ)

 ⑴⑵は、快楽を感じるために重要になる「報酬系」の一部。⑶には、損得勘定を計算する働きがあります。

 「努力できる脳」の持ち主は、⑴⑵の働きが活発で、報酬を予測することで快楽を得ています。それが努力の推進力になるわけです。一方で、⑶の働きは鈍くて、損得勘定はあまりしていません。「努力できない脳」の持ち主はその逆で、報酬を予測する働きが弱い一方で、損得勘定は活発なので、「こんなことをしても割が合わない」という理由で努力を中断しがちです。

 言葉を換えれば、努力できない人というのは……

「こんなことやっていて、意味があるのかな?」

 ……という疑問を抱きやすい、ということです。脳の構造として、そう感じやすくて、努力の途中でつい立ち止まってしまうわけです。

 さて、ここからが本題です。

 僕はこの実験を、東大生10人以上にやってもらいました。東大生は果たして、努力できる脳の持ち主なのかどうかということを調べたのです。

 結果は意外なものでした。