「満点じゃなくていい」と思う人の問題点
いかがでしょうか?
100問もあるのだから、5、6問くらい間違ってもいいじゃないかと主張する矢島に、そうやって妥協し、自分を甘やかして今まで生きてきたんじゃないかと、柳先生は厳しく問います。「満点じゃなくてもいい」という心の緩みは、必ずどんどん広がっていってしまいます。1問のミスを許すと2問ミス、3問ミスをずるずると許してしまうことになるのです。ちょっとした小テストであったとしても、満点でなくていいと妥協するその心の緩みは、受験本番に大きく響いてきてしまいます。
この問題の本質は、「成功と失敗をしっかりと切り分ける」ということです。
何かを実践すると多くの場合、「成功なのか失敗なのか分からないライン」というのが出てきてしまいます。例えば100点満点のテストで90点だったときに、それが「成功」なのか「失敗」なのかの判断は難しいですよね。普通は分からないと思います。「次のテストではいい点を取りたい」と考える学生は多いです。しかしその子に「じゃあ、いい点ってどれくらい?」と聞くと、あんまり考えていない人が多いんですよね。
だからしっかりと、成功のラインを決めておくこと。「満点以外は認めない」「満点が取れなかったら罰ゲーム」というように、しっかりと成功と失敗を切り分けておくことで、テストを受けるというその挑戦が、張り合いのあるものになっていきます。
仕事でも同じでしょう。例えばプレゼンであれば「上司からこういう一言を引き出す」、メールであれば「こんな返信が返ってくるように送る」、というようにしっかりと成功のラインを決めておくことが大事です。「成功と失敗を分けるライン」さえあれば、どんな小さな仕事であっても「挑戦」になります。
成功を定義するから、反省できる
成功のラインを決めても、自分一人で自分を律するのは難しいと思うかもしれません。でも、自分で自分に罰ゲームとご褒美を決めておくことはできます。その罰ゲームを「同僚に飯をおごる」とかにして、誰かにしっかりとその挑戦を見ていてもらうというのもいいと思います。好きな食べ物をご褒美にするとか、自分のモチベーションが高まることを決めておくのもいいでしょう。大事なのは、具体的なゴールを設定して、成功と失敗を明確に線引きし、メリハリをつけるということです。
成功のラインが設定されていれば、その基準に達しなかったとき、「今回はうまくいかなかった」と認めることができます。失敗を失敗として受け止めて、「もっとこういうところを工夫しないといけないんじゃないか」と考えることができるようになります。100点満点が目標で結果が90点だったということは、10点分は改善することができるポイントがあるということです。逆に90点で成功だと考えるのであれば、90点を取れた自分を褒めてあげられます。目標を確かに達成したという満足感は、次のより高い目標に向かうモチベーションになるはずです。いずれにしても、今回の挑戦を次に生かすことができます。
けれど、成功と失敗の線引きが曖昧だと、100点満点で90点を取ったとき、それを「なんとなくいい点が取れたな」と捉えてしまいます。成功とも失敗とも思わないので、次に生かせなくなってしまいます。90点を成功と捉えるか失敗と捉えるかは人によりますが、どちらと捉えるにしても「こっち(成功/失敗)なんだ!」と強く認識できるのであれば、きっと成長につながっていくのです。
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