保健医療の脅威を安全保障に

 各国のコロナ対応から得られる学びを基に、世界各国はこれからどのように将来の感染症に備えるべきか。

 1つの重要なメッセージは、パンデミックを含む保健医療の脅威を、国家に対する安全保障上の最大脅威の1つに押し上げることである。その上で、省庁や中央・地方行政、保健医療セクターを超えた国全体、あるいは社会全体による緊急対応の仕組みを、法制度も含めて作り上げる。

 具体的には、独立パネルは、⑴国の公衆衛生機関が保健医療セクターを超えた感染症対策の機能を持つこと、⑵首相が指名する国全体の備えと対応を統括するパンデミックコーディネーターを設けること、⑶対応能力を実践の中で測り継続的に改善するため、パンデミック対応のシミュレーションを毎年行うこと、などを提案している。

 世界各国が密につながっている今日、各国のパンデミックに対する備えの有無は、他国のセキュリティーにも大きくつながってくる。「喉元過ぎれば熱さを忘れる」にならないよう、各国のパンデミックに対する備えは、国際的な仕組みの中でモニターし、支援していかなければならない。独立パネルは、国連総会というすべての国連加盟国が集まる機関の下に、国家元首レベルが共同チェアをする「グローバルヘルスの脅威に対する協議会(Global Health Threats Council)」を設立することを提案した。

 また、各国によるパンデミックへの備えを保健大臣のレベルから国家元首、財務大臣のレベルの議論に押し上げることも必要だ。国による十分な投資を促すため、IMF(国際通貨基金)が世界の加盟国と定期的に行っている経済状況や為替、経済政策に関する監視と協議に、パンデミックへの準備度合いのモニタリングを加えることも提案した。

 いずれも実現すれば大きな効果を生み得る大胆な提案であり、その実現に向けた議論が進んでいる。次回の記事では、これらの提案を含む独立パネルの「コロナを人類が経験する最後のパンデミックにする」ための提言の全体像を示し、その実現に向けた動きについて紹介したい。

この記事はシリーズ「新型コロナを人類最後のパンデミックにする挑戦」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。