全国の中小企業をやみくもに統合するだけでは、強い企業は生まれない。強い中小企業の魅力を維持するには、国民性まで加味した再編プランが必要だ。そんな理想の中小企業改革が実現したとき初めて、日本経済は再生の出発点に立つ。
政府が現在検討している中小企業再編論を具体化し、例えばこんな改革を実施するとどうなるだろうか。
技術力などできらりと光る部分はあるものの経営規模などの面で一定の水準に満たない企業を選び出し、同業種の地域ナンバーワン中小企業の下に統合。都道府県ごとに1社ずつ新たな大企業をつくり上げていく。大組織化するうえでは、ここまで見た“駄目な大企業”にならないように、次の2つの工夫をする。

1つは、企業として「長期的視点」を失わない工夫だ。強力なリーダーを配置し、会社がステークホルダーからのプレッシャーなどで短期的利益の追求に走らないよう監視させてもいいし、欧米の有力企業のように長期目標の設定と順守を経営の最優先事項に定めてもいい。フランスの多国籍食品メーカー、ダノンの経営陣は常に「20年先を見据えた経営」を要求される。
さらに「大企業病の予防」の仕組みもつくる。指揮系統や意思決定の複雑化、商品開発や社内ルールでの前例踏襲主義のまん延、組織としての様々な動きの鈍化……。そんな大企業病の予兆を、第三者の視点で早期発見し改善する仕組みを確立する。
日本人には意地悪な人が多い?
そうやって先進的な中小企業を集めれば、小組織ならではの革新性と大組織の安定性を兼ね備え、なおかつ日本の“駄目な大企業”の欠陥も持たないスーパーカンパニーが生まれないだろうか。「残念ながらそうはならない」。近年、そんな結論を示唆するユニークな研究結果が出てきている。
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