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 2002年、取引先だった雪印食品が外国産牛肉を国産と偽っていたとしてその悪行を告発した西宮冷蔵社長の水谷洋一さん。あれからもうすぐ20年がたつ。雪印グループは、水谷さんの告発によって不正に関わった関係者が逮捕され、実質的に解体されることとなった。

 しかし、水谷さんの人生も暗転してしまった。

 告発後、雪印食品以外の荷主から「申し訳ないけど、もう預けられない」などと言われ、詳しい理由を告げられないまま、9割の荷物が消えていった。西宮冷蔵は、国から「当時、偽装伝票を作るなど、不正に手を貸した」などとして1週間の業務停止命令処分を受けた。

 資金繰りに窮し、告発から約10カ月後に休業に追い込まれた。告発したのに、まさか、自分が国から業務停止命令を受けるとは──。政官財が連携し、大企業に刃向かえばこうした仕打ちを受ける、という見せしめだと感じた。

 不当な圧力には屈しない。「負けへんで!西宮冷蔵」。こんなのぼりを掲げ、JR大阪駅前の陸橋で座り込みをし、支援を募った。その輪が広がり、04年には営業を再開したが、14年に再び休業。膨らんだ借金は13億円ある。再開をあきらめかけたが、支援者の応援や「正直者がばかを見る社会はおかしい」などといった手紙を支えに、踏ん張っている。

たった一つだけの後悔

 だが、悔やんでも悔やみきれないある出来事が起きた。

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