企業と社外取締役の理想の関係とは――。日本の企業統治の現状と課題を、ガバナンスや経営人材に関するコンサルティングを手掛けるボードアドバイザーズ(東京・千代田)の佃秀昭社長に聞いた。
■本シリーズここまで
(1)最先端のガバナンスで混乱する東芝 社外取締役は必要か
(2)ボード3.0の巨人エクソン アクティビスト社外取が脱炭素を主導
(3)ボード3.0の源流にジョブズ氏も 閉塞感を打ち破るきっかけに
(4)日本でもボード3.0 アクティビストと元経営者のオリンパス改革
(5)丸井グループが掲げる日本版ボード3.0 社外取は長期投資家
(6)富士通と日立の改革支える「外部の目」 社外取が取締役会を活性化
(7)“女性社外取バブル”の光と影 日本のガバナンス改革の現在地
(8)“お飾り”の女性社外取 株価は上がるが業績は上がらず

日本企業にとって社外取締役の選任は常識になり、取締役会に「社外の目線」が着実に取り入れられている。監督機能と業務執行機能を分離しやすい委員会型の機関設計を取り入れる動きが増え、取締役会がその役割と責務を果たしているかを評価する「実効性評価」の必要性も認識されるようになった。大企業を中心に、社外取締役が業務執行を監督する「モニタリングモデル」へと着実に移行していると捉えている。
ただ、企業価値の中長期的な向上に結び付いている企業はまだ少ない。経営陣の果断なリスクテークを支えることを狙ったガバナンス改革だが、コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)が策定された2015年以降、日本企業の成長投資は小幅な伸びにとどまっている。
指針は守ることを一律に強制するのではなく、個別の事情から実施が適切ではないと判断すれば、その旨を説明すれば済む仕組みになっている。しかし企業側はその順守に追われて、ガバナンスを自律的に考える機会を失っているようにみえる。その背景として、機関投資家の議決権行使における形式的対応にも課題があるとされる。
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