かつて総合電機の雄として覇を競った富士通と日立製作所。だが、リーマン・ショックやグローバル競争の激化などの逆風を受け、事業の選択と集中による構造改革を進めてきた。この間、「外部の目」として改革を支えたのが社外取締役。マーケットなど多様な視点を取り入れることで、取締役会が活性化している。

■本シリーズここまで
(1)最先端のガバナンスで混乱する東芝 社外取締役は必要か
(2)ボード3.0の巨人エクソン アクティビスト社外取が脱炭素を主導
(3)ボード3.0の源流にジョブズ氏も 閉塞感を打ち破るきっかけに
(4)日本でもボード3.0 アクティビストと元経営者のオリンパス改革
(5)丸井グループが掲げる日本版ボード3.0 社外取は長期投資家

 富士通は社外取締役を通じて、経営にマーケットの視点を取り入れている。キーマンが2019年から取締役会議長を務める阿部敦氏だ。阿部氏は米投資銀行でのM&A(合併・買収)業務などを経て、15年に富士通に社外取締役として参画。米国での豊富な経験が強みだ。

 阿部氏自身が頻繁に投資家と対話をし、「ステークホルダーの大きな部分を占める株主が何を考えていて、何を求めているかを正確に理解し、執行に伝え、経営に反映すべきだ」と話す。20年には投資顧問会社、いちごアセットマネジメント社長のスコット・キャロン氏が社外取締役に招かれ、投資家の立場から経営に提言する。

富士通の阿部敦・取締役会議長は独立社外取締役としてガバナンス改革を進めてきた(写真:北山 宏一)
富士通の阿部敦・取締役会議長は独立社外取締役としてガバナンス改革を進めてきた(写真:北山 宏一)

 例えば、資本市場はより中長期でのキャッシュ創出力についての説明を求める傾向にある。こうした声を踏まえ、同社は20年に新たな財務目標として「キャピタルアロケーションポリシー」を導入。20年度から5年間で1兆円超のフリーキャッシュフローを創出し、成長投資や還元などで最適に配分する方針を示した。

「取締役会は実質にこだわる」

 阿部氏はまた、「取締役会は形ではなく、実質にこだわらないと(企業を取り巻く)急速な変化についていけない」と力を込める。富士通はITシステムの構築に関して国内で盤石な事業基盤を持つが、海外ではテックジャイアントとの激しい競争にさらされている。阿部氏の下、取締役会の活性化に向けた改革を進めてきた。

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