三菱電機は10月20日、品質不正問題について、弁護士らでつくる外部調査委員会の最終報告を公表した。1年4カ月にわたる調査で浮き彫りになったのは、煩雑な検査が人手で行われ、不正の温床となってきたことだ。企業に促してきたDX(デジタルトランスフォーメーション)が、社内では欠如していたといえる。

品質不正問題で外部の調査委員会の調査が終了し、会見で改めて謝罪する三菱電機の漆間社長(中央)ら(写真:共同通信)
品質不正問題で外部の調査委員会の調査が終了し、会見で改めて謝罪する三菱電機の漆間社長(中央)ら(写真:共同通信)

 調査委員会によると、一連の不正で発覚した不正件数は、全国22製作所(工場)のうち17製作所の計197件。これを受け、三菱電機は新たに新旧の役員10人に対し追加処分を実施、対象者は22人になった。「不正に関与していた事実はない」と述べていた柵山正樹前会長も約30年前の課長時代に関与していたことが判明した。柵山氏はシニアアドバイザーを辞職し、退社する。

 不祥事関連の調査期間は通常3~4カ月が多いが、三菱電機は約1年4カ月と異例の長さになった。

 タービン発電機を製造する電力システム製作所では、実際に計測した数値ではなく、虚偽の試験データを記入する不正が行われていた。柵山前会長は同製作所で1990年代に課長を務めていた。姫路製作所(兵庫県姫路市)では、自動車用部品の性能が規格値に達していないにもかかわらず、達していると偽って顧客に虚偽の報告をしていた。この製作所では2021年夏に調査が始まった後も品質不正が行われていた。

 こうした背景にあるのが、現場のDXの欠如だ。

 デジタル化できるにもかかわらず、多くの現場で人力による作業が残っていた。漆間啓社長は、出荷量の少ない製品を扱う受注生産の製作所や、量産する一部の製作所でも「検査ツールが導入されていないケースがあった。自動化が進まないなかで不正が行われてきた」と語った。鉄道車両部品を生産する伊丹製作所(兵庫県尼崎市)、長崎製作所(長崎県時津町)で見つかった不正は全196件のうち44件に上った。DXが進んでいない現場で不正が多い傾向があった。

 三菱電機は検査部門などで21年10月から、従来人力で実施してきた計測と結果入力を自動化させるシステムを順次導入し始めた。23年度上期までに計300億円を投じる。

 顧客と契約した内容に沿って検査の方法などを定めるときに、これまで人が介在してエクセルなどでデータを集計していたが、一元的にシステムで管理できる体制に変更する。品質担当役員は「人手での作業はすべて排除したい」と話した。

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