カタログを使ったアクセサリー通販で知られるサン宝石(山梨県中央市)が8月末、民事再生法の適用を申請した。2010年代には「ほっぺちゃん」などのヒット商品を生み出してきたが、その後の放漫経営が経営体力をむしばんだ。民事再生法の適用申請に至った経緯と今後について、サン宝石の渡邊駿専務取締役に聞いた。

<span class="fontBold">渡邊駿(わたなべ・しゅん)氏</span><br>1989年山梨県中央市生まれ。青山学院大学社会情報学部卒業後、テレビ番組制作会社などを経て、2019年にサン宝石に入社。20年からサン宝石専務取締役。創業者の孫に当たる。現在はスポンサー探しなど事業存続への道を探っている。
渡邊駿(わたなべ・しゅん)氏
1989年山梨県中央市生まれ。青山学院大学社会情報学部卒業後、テレビ番組制作会社などを経て、2019年にサン宝石に入社。20年からサン宝石専務取締役。創業者の孫に当たる。現在はスポンサー探しなど事業存続への道を探っている。

8月末、サン宝石が8月27日に甲府地方裁判所へ民事再生法の適用を申請したことが報道され、大きな話題を呼びました。

渡邊駿氏(以下、渡邊氏):突然の発表で顧客や関係各所の皆さまにはご迷惑、ご心配をおかけして申し訳ない気持ちです。10年代の半ばから経営状態が悪化の一途をたどっていたところに、コロナ禍が追い打ちをかけるように起きてしまい、事業の継続が困難となってしまいました。

 現在も営業は継続しているものの、資金難から通販用のカタログを印刷できなくなるなど、業務に支障が出ています。スポンサーとなってくれる企業を見つけ出すために、現在協議を進めています。

民事再生法の適用申請について、従業員にはいつ頃、どのようにして伝えたのですか。

渡邊氏:従業員には8月27日の就業後に伝えました。本社の会議室に集まってもらい、父(社長)から「これ以上、継続的に事業をしていくことが難しくなった。このたび、民事再生を申し立て、スポンサーを募って再生に向けての計画を立てて、違うフェーズでの復活を遂げたい」という趣旨の説明がなされました。

 急にそんなことを言われて従業員は戸惑っていただろうと思います。私個人としてはお客さんへの謝罪の気持ちももちろんあります。でも、それ以上に従業員に対して、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。

 そんな中でも従業員は一丸となって会社に協力してくれています。こんな状況ですから、退職者が続出したりする事態が起きていてもおかしくないでしょう。従業員には感謝の気持ちしかありません。

小中学生を主なターゲットにした格安アクセサリーの通販事業で成長したサン宝石だったが、8月27日に民事再生法の適用を申請した
小中学生を主なターゲットにした格安アクセサリーの通販事業で成長したサン宝石だったが、8月27日に民事再生法の適用を申請した

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