三菱電機は10月1日、品質不正問題に関する調査委員会がまとめた中間報告書を受け、漆間啓社長らが記者会見を開いた。調査委員会の報告書は「本社と現場との断絶」を指摘。本来は疑いの目を持って臨むべき社内の不正調査において、現場からの報告を額面通りにしか受け取れない役員らの対応の甘さがあった。

 「なぜ、現場は本当のことを言ってくれなかったのか」
 「『助けてほしい』と言ってくれれば、対応できたのに」

 三菱電機が長年にわたって繰り返してきた品質不正を巡り、調査委員会が聞き取りをした多くの役員らはこう回答したという。検査不正の責任を取り、同日辞任した柵山正樹会長も会見で、「社長時代には年間40数回、現場に出向いていた」と現場重視の姿勢を見せた。一連の役員らの回答からは、「自分たちはすべきことをしていた」と言いたげな不満が透ける。

検査不正について記者会見する、三菱電機の漆間啓社長(右)と会長を辞任した柵山正樹氏(写真:共同通信)
検査不正について記者会見する、三菱電機の漆間啓社長(右)と会長を辞任した柵山正樹氏(写真:共同通信)

「ずっと不正を気にしていた」

 これに対して報告書からは、当事者意識のない本社役員らに対する現場の不信感が見て取れる。電磁開閉機の一部機種の部品で認証登録されていない材料を約20年間、使用していた可児工場の管理職は、調査委に対し「総点検で(本社に)報告したところで、『報告ありがとう。それでは、あなたたちで改善してね。』と言われるだけ」と述べている。現場からは「問題の是正を行うのは工場の現場で、本社から支援を受けられるわけでもない」との声もあった。

 可児工場の別の従業員は「若い頃からずっと気にしていた」と話し、罪悪感を抱きながら不正に関与してきた苦しさを打ち明けている。現場には良心の呵責(かしゃく)に苛(さいな)まれた従業員がいたが、本社はこうした声を救えなかったわけだ。

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