今の話と上場するかしないかの話は似ていると思っています。我々は、顧客、従業員の幸せのために仕事をしています。株主として応援してくれる存在がいるとはいえ、お金を出しただけで顔が見えないような一部の株主の方々に向ける労力を、消費者や取引先、社員などに充てたいという感覚があります。

「非上場企業は『何のために会社があるのか』を考え続けないといけない」と語る髙田社長兼CEO
「非上場企業は『何のために会社があるのか』を考え続けないといけない」と語る髙田社長兼CEO

株主の最大利益のために仕事はしない

社員、顧客、取引先に配慮するバランスはどのようにお考えですか?

髙田氏:社内では「会社に関わる人皆がハッピーになろう」と言っています。社員も顧客も、取引先も、社会も、会社も、です。例えば、「顧客のため」といって社員がボロボロになって働いても意味がないし、社員がいい生活をして顧客が不幸になってもいけません。顧客、社員が幸せでも会社が続かなければ、ダメです。全てに欲張ってバランスを取ろうと思っています。「株主の最大利益のために仕事をしよう」という動機付けを社員に対してできるイメージは持っていません。

株主への配慮は必要ないということでしょうか?

髙田氏:もちろん資本主義である以上、株主への配慮も必要です。ガバナンス上ポジティブに機能することも否定しません。特に、我々のような非上場企業は、経営に失敗すると「社外の役員を会社に入れてガバナンスを整えるべきだ」という議論が噴出します。

 一方、上場企業でも、経営不振に陥ると「トップダウンがなっていない」「ガバナンスが利いていない」などと体制が否定されますよね。結果から逆算すると、どちらも肯定、否定される場合があり、上場して株主に最大配慮することが良いのか悪いのかという判断はしにくいです。そういう意味では、非上場企業のガバナンスとしては、経営陣が客観的に「何のために会社があるのか」を考えて事業を進めなければならないと思っています。

 例えば、私たちは社員研修旅行に多額のお金を使っています。今はコロナ禍で行けていませんが、毎年海外に出かけています。19年11月には約480人で行きました。再開発事業で長崎に新しいスタジアムを建てるので、英プレミアリーグのトッテナムのスタジアムで試合を観戦しました。

 上場していたら、株主から「無駄だ」と指摘されるかもしれない。しかし、社員研修旅行は、皆が楽しそうで、いろいろな出会いや発見もあります。旅行中の催しも、全部本気で取り組みます。そうした活動が会社の血肉となっているのです。