企業が上場を狙う理由の1つに、人材の採用がある。東京証券取引所の市場再編で最上位となる「プライム」を目指す事情としては、採用への影響もあると考えられる。では、実際に就職活動に臨む大学生は市場再編や新たな市場区分についてどれほど関心があるのか。また、学生の大手志向は根強いのか。大学2~3年生に就活の現状を語ってもらった。

(個別の取材を再構成した)

最近は就職活動をするにあたって企業の規模を気にしないという学生も増えていると聞きますが、みなさんは就活をしていて、また今後するにあたって、企業の規模や、上場しているかどうかは気にしていますか。

Aさん(立正大学3年):上場しているかどうかは気にしないけど、残業時間とか本当に休みが取れるのかどうかは気にしますよね。給料よりも時間的にゆとりのある生活を送りたいので。若い時は高収入でなくても1人で生きていけるじゃないですか。低所得は嫌だけど、手取りでも5万円程度の差なら休みが多い方がいいです。

 そもそもコロナ禍で上場廃止になる企業も出てきているじゃないですか。上場していれば、それが優れた企業の証しになるというわけでもない。だから社員が10人とか少な過ぎるのは怖いですけど、100人くらいいる企業であれば非上場でもOKじゃないか、と考えています。

Bさん(上智大学3年):私は就活では上場企業を中心に応募しようと思っています。やっぱり、将来性や経営基盤を考えると安定しているイメージがあるから。市場区分は気にしないですけど。東証1部なら安定していると思えるし、ジャスダックならそれはそれで成長しているのかな、とかポジティブにとらえられます。

Aさん:立正大学3年、アパレル業界や営業職を志望。ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)は紳士服専門店でのアルバイト。営業成績が学生バイトで全国トップだった。
Bさん:上智大学3年、メーカー、教育業界志望。夏休みだけで、インターンシップ(インターン)には10社以上参加した。
Cさん:慶応義塾大学3年、不動産デベロッパー、鉄道系や石油元売りなどの企業を志望。街づくりや持続可能な社会づくりに興味がある。
Dさん:国際基督教大学2年、教育業界志望。教育系ベンチャー企業で長期インターンに参加している。父親がメガバンク勤務。
Eさん:筑波大学2年、専攻はデータサイエンス。機械学習系の職業に興味があり、ITエンジニアのアルバイトの経験がある。

就活生は東証市場再編をどう捉えているのか。本音で語ってもらった(写真:PIXTA)
就活生は東証市場再編をどう捉えているのか。本音で語ってもらった(写真:PIXTA)

Cさん(慶応義塾大学3年):私が受けようと思っているデベロッパーや鉄道系の会社には、非上場の企業もあります。だから上場しているかどうかは気にしないけど、事業規模は大きい方がいいですね。その分、大きなプロジェクトに関われると思うので。給与や福利厚生など、上場しているかどうか以外の条件が同じであれば上場企業を選ぶと思いますが。勤務地が東京近郊であることと平均以上のそれなりの給料があれば、いいかなあ。

Dさん(国際基督教大学2年):こんなことを面接では言えないと思いますけど、私はセカンドキャリアでは教員になりたいと考えています。教員になる前に社会人を経験しておきたいというだけなので、転職しやすい企業の方がいいかなあと思います。でも、今まで説明会に参加した企業はすべて自分の知っている企業ばかりだったので、結果的には上場企業だけを選んでいたのかもしれません。結局、自分の知識の範囲内の企業から応募することになるんですよね。だから、就活に本腰を入れるときには大手志向になっているのかも。

Aさん:市場区分があることは知っていましたけど、東証1部、2部のほかに何がありましたっけ?

東京証券取引所ではほかにジャスダックやマザーズがありますね。また、これら4つの市場区分は2022年春からプライム、スタンダード、グロースの3つに再編されます。

Aさん:再編については全然知らなかったです。でも、1部、2部よりもプライム、スタンダードの方が「格落ち感」がなくて聞こえはよさそうですね。何だか、サブスクリプションの会員ランクみたいです。スタンダードでも必要な機能はそろっている、というようなイメージを持ちました。

Cさん:私も周りの友人も大手志向ですが、市場区分が話題に上ったことはほとんどないですね。

Eさん(筑波大学2年):私は事前に調べましたが、大学の経営系の講義でもそのトピックはほとんど触れられなかったと記憶しています。聞いたことがあるかな、という程度。

 東証市場が再編された後の区分については、まだイメージが持てません。とはいえ、就活をする時には市場区分は調べますし、意識もすると思います。私は機械学習に関係する職業や業界に興味がありますが、例えば、マザーズだとIT・情報系の会社が多いですよね。市場ごとにどんな会社が上場しているのかという点を把握した上で、企業選びの参考にします。

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