特集『「社風」とは何か』ではTOTOやISOWAなど様々な会社の社風の改革や維持への取り組みを紹介してきた。今回取り上げるのは食品開発・製造のデルタインターナショナル(東京・品川)だ。設立から29年、売上高約230億円の中堅企業で、ドライフルーツなどの卸売りや「ロカボナッツ」をはじめとした健康志向の商品の開発・販売などを手掛ける。同社の事業は伸び続けていたものの、社員のモチベーションが低いことが課題だった。社員に向き合い、社風を「掘り出す」改革が始まった。

 「業績がいいのに元気がなく、会社に興味がない人が多かった」。デルタインターナショナルの枝澤政隆取締役は同社の状況をこう振り返る。

 同社は京都市で食品輸入の事業からスタートし、1992年に会社を設立。ドライフルーツやナッツの卸売りの事業に加え、現在は「ロカボナッツ」「アーモンド週間」をはじめとした健康スナックなど人気商品を多数抱える。消費者の健康志向も相まって、大手ドラッグストアやスーパーなどでの陳列も増え、足元の販売は伸びている。

デルタインターナショナルはロカボナッツをはじめ、健康志向の商品を数多く抱える
デルタインターナショナルはロカボナッツをはじめ、健康志向の商品を数多く抱える

 創業当初は「とにかく数を売る」という方針のもと、創業者のリーダーシップで会社経営が成り立っていた。「休日に社員でバーベキューをするなど、よくいえば家族経営のような会社だった」と枝澤氏は話す。その後も強烈なトップダウン型で事業を運営、目標も「業界ナンバーワンの取引先を開拓する」だった。会社の理念やビジョンの共有などは全くなく、社員はとにかく目標に向けてモーレツに働き、モーレツに商品を売った。その結果、2011年に約80億円だった売上高はこの10年間で3倍にまで成長した。

 だが、成長のひずみが出始めていた。

 創業者が経営の一線から退いた際、ロカボナッツといった売れ筋の商品は残っているものの、「業界ナンバー1の企業を攻めた後は、まるでからっぽ。僕たちは何をしたらいいんだっけという状態だった」(枝澤氏)という。外部の人事調査サービスを使ったところ、社員のやりがいや会社への興味といった数値が極端に低く、「社員は何のために仕事をしているのか何も感じていない。事業の伸びも鈍化し始めており、誰も喜んでいない状態だった」と枝澤氏は振り返る。

 家族経営から転換する重要な時期にあるにもかかわらず、社内の組織がうまくかみ合わない。何らかの人事制度改革をする必要があるのではないのか。そう考えた枝澤氏が頼ったのが、大手や外資系の企業を経て人事アドバイザーなどの事業を手掛ける安田雅彦氏だ。

安田雅彦氏は西友やグッチグループジャパンなどの人事部門を経験し、今年We Are The Peopleを起業した
安田雅彦氏は西友やグッチグループジャパンなどの人事部門を経験し、今年We Are The Peopleを起業した

 安田氏はアストラゼネカやラッシュジャパンなどを経た人事戦略のプロ。ラッシュジャパンでは契約社員・派遣社員をなくして正規化し、定年制を取っ払うなど大胆な組織改革も実行してきた。組織づくりや人材開発などのノウハウを持ち、21年7月に独立して、組織開発事業のWe Are The Peopleを立ち上げた。

 安田氏は「多様性やコーポレートカルチャーの構築は大企業よりも中小企業のほうがやりやすい。日本の企業は99%が中小企業。日本を支える中小企業の仕事に携わりたかった」と話す。

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