「定時株主総会の結果を真摯に受け止め、すべてのステークホルダー(利害関係者)の利益のため取締役と執行は密に連携しながら活動しており、着実に前に進んでいる」――。

 東芝が8月12日に決算説明会と併せて開催した「企業価値向上に向けて」と題した説明会。オンライン会見に登壇した綱川智社長兼CEO(最高経営責任者)は6月25日の定時総会以降に取り組んでいるガバナンス(企業統治)改革の進捗状況に自信を見せた。

経営が混乱し、ガバナンス立て直しの真っ最中にある東芝(写真:ロイター/アフロ)
経営が混乱し、ガバナンス立て直しの真っ最中にある東芝(写真:ロイター/アフロ)

 現在、東芝はガバナンスの立て直しを急いでいる。4月、英投資ファンドによる買収提案に伴う経営混乱の責任を取り、社長兼CEOだった車谷暢昭氏が辞任(参考記事:東芝・車谷社長「必然」の辞任、機能したガバナンス)。6月の定時総会では2020年の定時総会を巡る問題で、取締役会議長だった永山治氏(中外製薬名誉会長)らの再任案が否決される事態に陥った(参考記事:東芝が「自滅」した3つの理由、混乱の株主総会)。現在は、会長だった綱川氏が社長兼CEOに加え、取締役会議長を暫定的に務めている。

 綱川氏の発言通り、さまざま改革が進んでいるのは確かだろう。定時総会後に社外取締役で構成し、株主との対話を担う「戦略委員会」を設置。「独立した立場でフィナンシャルアドバイザーやコンサルタントとともに、執行側からのプレゼンテーションを受けて事業の検証に注力している」と綱川氏は話す。アクティビスト(物言う株主)を含めた外部の投資家との対話も進めているという。10月には新たな中期経営計画を公表する考えだ。

 8月6日には、元最高裁判事の金築誠志氏を委員長とする計5人の「ガバナンス強化委員会」を設置すると発表。20年の定時総会で経済産業省と協力して株主に圧力をかけた問題の「真因の究明」「責任の所在の明確化」「再発防止策の策定に向けた提言」について10月に報告書をまとめるべく動いている。このほか、「株主と目線を合わせるため、より強いオーナーシップ・カルチャーの醸成を重要課題と認識して活動に取り組んでいる」(綱川氏)という。

8月12日のオンライン会見に登壇した、東芝の綱川智社長兼CEO
8月12日のオンライン会見に登壇した、東芝の綱川智社長兼CEO

 定時総会から約1カ月半での改革を強調する綱川氏。もっとも、会見で説明された改革の多くはすでに発表されている内容が多くを占めた。市場関係者からは「アップデートを期待したが、正直、サプライズに乏しかった」との声が上がった。

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