これまで特集「『社風』とは何か」では、TOTO龍崎といった歴史ある企業が創業当時の社風を守り続ける事例を紹介してきた。ただ、両社は先人が「良い社風」の土台を創った企業でもある。今の社風を変えたい、変えていきたいという経営者やマネジャーもいるだろう。そんな方はぜひISOWAの事例を参考にしてほしい。

 愛知県春日井市に本社を置く段ボール製造機械メーカーで創業101年目のISOWAは「社風改革は一日にして為らず」を地で行く企業だ。社内の風土改革を社長が掲げてから現在まで、その期間はなんと20年に及ぶ。企業理念に「世界一社風のいい会社」を掲げるISOWAの改革の歴史を見ていこう。

社風改革を20年続けるISOWAの磯輪英之社長(写真:上野英和、以下同)
社風改革を20年続けるISOWAの磯輪英之社長(写真:上野英和、以下同)

 創業家出身で4代目の磯輪英之氏が社長に就任したのは2001年のこと。それから今まで20年に渡り、社風改革の施策を打ち続けてきた。なぜ社風改革を理念に掲げるまでに至ったのか。

 段ボール製造機械を作るISOWAは、昔から海外にも多く顧客を抱える。磯輪社長は大学卒業後に商社で経験を積み、満を持して父親が経営する会社に戻ってきた。だが、当時のISOWAはいわゆる歴史ある同族企業。良くも悪くもワンマンの経営が浸透しており、働きがいを感じている社員が少ない職場だった。何とかして社員のやる気を引き出したい。磯輪社長は社風改革を決意した。

 ただ、リーダーが変われば社風はすぐに変わるかといえばそうではない。長い歴史によって組織全体に染みついた風土を変えるのは一朝一夕では不可能だ。外部のコンサルの力も借りつつ、磯輪社長の社風改革は始まった。

 初期段階で手を打った象徴的な制度が「会社の文句を言う会議」だ。

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