不祥事や好業績の背景に潜むという「社風」。曖昧な存在だが、一朝一夕では変革が難しい社風を、どうつくり、維持していくのか。特集「『社風』とは何か」では、社風と向き合う企業の今を追っていく。連載第3回は独特の経営スタイルで生き残ってきた、1896年創業の保険代理店、龍崎の社風を見ていく。

 東京・新川に創業125周年を迎えた異色の保険代理店がある。

 飛び込み営業無し、歩合給無し、この53年間で、自己都合で退社した男性社員はわずか3名のみ──。

 それが、1896年に創業し、日本最古の保険代理店の一つとも言われる龍崎(東京・中央)だ。「125年間、『お客様目線』という姿勢だけは何一つ変わっていません」と、齋藤健社長は胸を張る。

龍崎の齋藤健社長
龍崎の齋藤健社長

 もともと日本橋に店を構えていた龍崎は、呉服店など、老舗の個人商店や中小零細企業を主な顧客としてきた。「お酒を飲むような接待は一度もしたことがない」(齋藤社長)と言うように、既存顧客からの紹介を枝葉のように広げ、地道に顧客ネットワークを開拓。競争が激しい保険業界の中で、こうした独特な経営スタイルを粛々と続けることができた理由こそ、「お客様目線」という理念が脈々と受け継がれてきた風土にある。

 例えば、顧客の子供が自動車事故を起こしてしまった場合、担当している社員は被害者のもとへ出向き一緒に頭を下げる。もしそれが死亡事故であったならば、通夜や葬式にも参列し、手を合わせる。

 

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