不祥事や好業績の背景に潜むという「社風」。曖昧な存在だが、一朝一夕では変革が難しい社風を、どうつくり、維持していくのか。特集「『社風』とは何か」では、社風と向き合う企業の今を追っていく。連載第2回は「ウォシュレット」でおなじみのTOTO。同社には創業から約100年にわたって経営に受け継がれている思想がある。

 今年4月にTOTOが示した新たな中期経営計画の資料の冒頭に、ある言葉が掲載された。

どうしても親切が第一
奉仕観念を以而(もって)
仕事をお進め下され度(たく)
良品の供給、需要家の満足が
掴むべき実体です。
此(こ)の実体を握り得れば
利益・報酬として影が映ります。
利益という影を追う人が
世の中には多いもので
一生実体を捕らえずして
終わります

TOTO初代社長(パネル顔写真中央)の言葉を受け継いだ17代目の清田徳明社長(写真:森 寛一、以下同)
TOTO初代社長(パネル顔写真中央)の言葉を受け継いだ17代目の清田徳明社長(写真:森 寛一、以下同)

 2020年にTOTOの17代目トップに就いた清田徳明社長が、未来への成長指針を広く伝えるべく作った資料に記したのは、100年近く前の過去の言葉だった。創業から104年が経過するTOTOには、歴代社長が受け継ぐ言葉がある。初代社長の大倉和親氏が、2代目社長に送った手紙(書簡)に書かれた文言だ。現物こそ残っていないものの、歴代トップは100年以上もの間、この言葉を意識した経営を続けており、TOTOの社風となって残っている。

 誠実で謙虚、そして初代社長が残した言葉を正しく理解して体現できるか。組織として目配りして末端まで創業者の思いを届けることができるか。この条件に当てはまる者しか社長にはなれない。そんな不文律がTOTOにはある。

 「この手紙の存在や内容は社長だけでなく、社員全員が知っている。OBやOG、そしてすべての社員が私の立ち振る舞いを見ている。独善的になっていないか、常に自問自答している」と清田社長は語る。

 企業の目的は利益の追求にある。だが利益だけを追い続けると、その実体を捕らえきれずに企業の寿命も尽きてしまう──。TOTOはこれまで、この言葉を地で行くような経営を続けてきた。

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