経営の混乱が続く東芝。国内外の投資ファンドによる買収や出資を含む再編案の検討は2次入札に入り、本格化している。約5年にも及ぶアクティビストとの「対話」の帰結として、ファンドによる東芝買収は実現するのか。海外の投資ファンドの動向に詳しい、ギブンズ外国法事弁護士事務所のスティーブン・ギブンズ代表に今後の展開について聞いた。

(写真=ロイター/アフロ)
(写真=ロイター/アフロ)

東芝が計画していた会社分割案は、今年3月の臨時株主総会で株主の賛成を集められず、株式の非公開化(非上場化)を含めた再編の検討が進んでいます。非公開化は実現するでしょうか。

スティーブン・ギブンズ氏(以下、ギブンズ氏):東芝の決定的な曲がり角は、2017年です。上場廃止が危ぶまれた東芝は海外のヘッジファンドから約6000億円の資金調達を実施し、海外勢が経営の主導権を握りました。東芝幹部は経営の独立を維持できると考えたのでしょうが、甘かった。

Stephen Givens(スティーブン・ギブンズ)氏
Stephen Givens(スティーブン・ギブンズ)氏
外国法事務弁護士、ニューヨーク州弁護士。1980年代から大手米国ローファームの東京事務所のパートナーとして、日本企業のアメリカにおける大型M&A案件などを手掛けてきた。2000年代からは外国ファンドによる日本企業への株主提案、委任状争奪戦などに関与し、物言う株主(アクティビスト)の動向に詳しい。東京育ちで、1987年以降は東京を拠点として活動している。京都大学法学部留学後、ハーバード・ロースクール修了。慶応義塾大学法科大学院の講師も務める。

 一方、ファンドは東芝株を売却してリターンを得ようとしましたが、一部のファンドにとっては期待する水準になかなか達しなかった。ファンドにとってもこの5年は、フラストレーションがたまる出来事の繰り返しだったのでしょう。

 今回の定時株主総会で、ファンド株主は「今回こそ、東芝が売却されるように」と取締役の席を確保しようと動きました。米ファラロン・キャピタル・マネジメントと米エリオット・マネジメントの外国ファンド幹部2人が取締役となり、ようやく売却プロセスが素直に進んでいます。買い手候補は外国のプライベートエクイティ(PE)ファンドなど3社と、官民ファンドの産業革新投資機構(JIC)を含む陣営だと日本経済新聞は報じています。

 ファンド株主は東芝に大きな影響力を持ったことになりますが、東芝の非公開化が実現するかどうかは、結局、経済産業省次第だと思っています。

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