6月の株主総会で、東京証券取引所上場の中堅ベンチャーキャピタル(VC)、フューチャーベンチャーキャピタル(FVC)の全取締役が交代した。前回記事の通り、物言う株主(アクティビスト)が従来の経営陣に総退陣を求めていたところ、筆頭株主がアクティビスト側についたことが決定打となって経営陣の総入れ替えが起こる異例の事態となった。総会ではどのようなやりとりがあったのか。新旧社長による経営への思いが交錯した、当日を克明に振り返る。

 株主総会は6月23日午前11時から開かれた。冒頭、フューチャーベンチャーキャピタル(FVC)の松本直人社長(当時)が切り出した。

松本直人氏(以下、松本氏):定款第14条の定めにより、議長を務めさせていただきます。第24回定時株主総会を始めます。事業内容について報告します。

 当社のビジネスモデルは、独立系VCとしてベンチャーファンドを運用することです。1つのファンドにできるだけ多くの投資家に出資してもらい、ファンド総額を大きくしてファイナンシャルリターンを追求してきました。

 ところが昨今、投資家のニーズが変わってきました。投資ノウハウを投資家に提供し、投資家から継続的な収益を得るモデルへ転換してきました。主な資金の出し手である国内金融機関、大企業がスタートアップ企業に投資する理由は、自らのビジネスモデルをスタートアップ企業の力で変革していくためです。

フューチャーベンチャーキャピタルのロゴ(同社ウェブサイトから)
フューチャーベンチャーキャピタルのロゴ(同社ウェブサイトから)

 社会や地域の課題に対し、それをビジネスの力で解決しようとするスタートアップ企業への投資を通じ、自らの社会的責任を果たしたい。そして、そうしたニーズに対し、投資ノウハウ、スタートアップ企業とのネットワークなど、VCとしてのノウハウを地域金融機関や大企業に提供する唯一の事業者としてのポジションを確立しました。ここ数年、そうした事業に注力した結果、約50本のファンドを運営しています。

 続いて、松本前社長は2022年3月期の連結決算について説明。売上高は5億4600万円と前の期比で3億1400万円減少したが、純利益は過去最高となった。ファンド管理費などのストック収益の増加やファンド運営の効率化によって、利益が増えたことなどを報告した。そして会社の存在意義について言及する。

松本氏「投資を通じて社会課題を解決」

松本氏:続いて、FVCの社会的意義を説明します。現在運用中のファンドのコンセプトは、地域金融機関と目指す「地方創生」、大企業と目指す「オープンイノベーション」の2種類があります。地方創生では、創業支援や事業承継支援、農業・食料の問題解決や再生可能エネルギーの普及といった技術開発や社会課題解決を目指すファンドを運営しています。

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