ある種のクーデターのようなトップ解任劇だったのではないか──。金融関係者の間でこうした見方が広がっている。6月25日の株主総会後の取締役会で、山口銀行などを傘下に置く山口フィナンシャルグループ(FG)の吉村猛・会長兼CEO(最高経営責任者)が、トップを解任されたことについてだ。預金を扱い、信用を第一とする銀行でこうしたガバナンス(企業統治)の問題が起きるのは異例だ。

21年3月期決算を発表する山口FGの吉村猛氏。独断専行で事業を進めたなどと指摘され、6月下旬に会長兼CEOを解任された(写真:共同通信)

 山口FGは山口銀行(山口県下関市)、北九州銀行(北九州市)、もみじ銀行(広島市)を傘下に置く地方銀行グループ。連結資産規模は約12兆円を誇り、全国有数の規模だ。同社は定時株主総会が行われた日の夕方、記者会見を開き、吉村会長兼CEOの再任を否決したと発表した。吉村氏は会長職を事実上解任され、代表権のない取締役にとどまる。新たなCEOには椋梨敬介社長が就くこととなった。

株主総会では99%の信任を得ていた

 同社が関東財務局に提出した報告書によると、株主総会では吉村氏が99.23%の支持を集め、取締役の再任案が可決された。そのトップが即日解任される事態となったわけだ。一体何が起きたのか。

 解任された理由について、同社の椋梨・新CEOは「吉村氏が社内合意のないまま新規事業を進め、(他の取締役から)その事業の妥当性について異なる意見が出た」と語ったが、それ以上の突っ込んだ言及はなかった。

 同社には吉村氏を含め10人の取締役(社外はうち7人)がいる。関係者によると、株主総会後の6月25日の午前11時過ぎに開かれた取締役会の再任決議で、1人の取締役が、吉村氏と椋梨氏の決議を分けるように提案した。

 取締役会議長だった吉村氏が自らの再任について挙手を求めたところ、吉村氏以外の9人が誰も手を挙げなかったという。「社内3人、社外7人」という取締役構成は、吉村氏がCEOのときに整えたものだ。経営の透明化を図るためだったが、結果的にしっぺ返しを食らう形となった。

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