東芝が2020年7月に開いた定時株主総会が公正に行われたのかを調べた弁護士3人が6月10日、調査報告書を公表した。この総会では、筆頭株主のエフィッシモ・キャピタル・マネジメントが自社の推薦する取締役を選任するよう株主提案したが、報告書は東芝と経済産業省が連携してこの提案を取り下げようと暗躍する不当な関係があったと指摘した。今回の判断は今年の東芝株主総会の波乱を予感させるものとなった。

記者会見で調査報告書の内容を報告する弁護士団
記者会見で調査報告書の内容を報告する弁護士団

 A4判121ページに上る報告書は、「東芝は、経済産業省商務情報政策局ルートと緊密に連携し、株主であるエフィッシモ、3Dインベストメント・パートナーズ、米ハーバード大学基金運用ファンドに対して、不当な影響を与えることにより株主総会にかかる株主の株主提案権や議決権の行使を事実上妨げようと画策した」と認定。「株主総会が公正に運営されたものとはいえない」と結論付けた。

メールなど77万件のデータを分析

 調査は、今年3月に開かれた東芝の臨時株主総会で「20年の株主総会の運営に不備があった」などと訴えたエフィッシモの株主提案が可決され、始まった。この臨時総会では経産省の参与がハーバード大学基金運用ファンドに議決権を行使しないよう圧力をかけた疑いなどが指摘されていた。

 調査者の弁護士は、東芝関係者へのヒアリングや「デジタル・フォレンジック調査」と呼ばれる方法で独立した立場から調べた。このデジタル・フォレンジック調査はメールサーバーから電子データの処理・解析を進めるもの。今回、約52万件の電子メールと、約25万件の添付ファイルを分析した。

 驚くのは、調査報告書の半分以上を占める、東芝と経産省との蜜月関係を示す記述だ。東芝内部での生々しいやり取りが、まるで小説のように詳細かつ克明に記されている。

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