社長交代を円滑に進めるには、早い段階から未来の候補となる人材を見つけ出し、時間をかけて実際にトップを担えるまでに育成する中長期的な仕組みが重要になる。日立製作所の「Future(フューチャー)50」は、若手の優秀層を集中的に育成する制度だ。人材統括本部グローバルタレントマネジメント部の西脇英司部長は「広い意味で、未来の社長を選ぶ仕組みの一環」と話す。

■ここまでの連載
(1)日本電産・永守氏の教訓 後継選びの鍵は「イズム体得」
(2)日本電産、動き出す「次の次」の後継選び 永守会長が社長育成塾
(3)トヨタの社長選びも変化 日本企業、後継の潜在力・改革力問う
(4)社長一存の後継選びはもう古い J・フロントや帝人の指名委改革

 日立製作所は世界中に約37万人いる社員から将来のトップ人材を発掘するため、選考面談には小島啓二社長も参加する。選ばれた社員に事業規模の大きいグループ会社の社長を任せるなどの「タフアサインメント」を課す一方、一人ひとりに幹部がメンター役として就く手法も取り入れ、本気で未来の社長育成を進める。

世界中に約37万人いる社員から将来のトップ人材を発掘する
世界中に約37万人いる社員から将来のトップ人材を発掘する

 フューチャー50は「不確かで変化の激しい状況」に臨む経営リーダーの選抜・育成を狙いとして、2017年にスタートした。社内から有能な人材を発掘して育てる「育成プログラム」と、経営リーダーの有力候補や会社を変える鍵となる人材の「タレントプール」という2つの側面がある。

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