いつかは寿命を迎える人とは違い、法人としての企業はゴーイングコンサーン(継続企業の前提)が宿命づけられている。その意味で誰に次代のバトンを渡すのかということが、企業の永続性の根幹を成す。現社長・会長だけに後任人事の裁量権があるわけではない。求められているのは公明正大に選び抜く仕組みづくりだ。
■ここまでの連載
(1)日本電産・永守氏の教訓 後継選びの鍵は「イズム体得」
(2)日本電産、動き出す「次の次」の後継選び 永守会長が社長育成塾
(3)トヨタの社長選びも変化 日本企業、後継の潜在力・改革力問う

大丸松坂屋百貨店やパルコなどを傘下に抱えるJ・フロントトリテイリング。社長選任の権限を持つ同社の指名委員会の4人は全員、経営執行には全くタッチしない。完全に独立した社外取締役ら監督サイドのメンバーだ。
かつて同社の指名委員会には、2020年に代表執行役社長に就任した好本達也氏が入っていたが、21年5月に外れた。
「もはやトップ人事は、現任社長らの専権事項ではない」。この7年ほどの間、取締役会議長の山本良一氏(J・フロント元社長)は、指名委員会等設置会社の機能を発揮させるべく改革にまい進してきた。
J・フロントではまず、同社執行役員以上のほか、大丸松坂屋やパルコなど主要会社の執行役員以上の約20人をリストアップ。人事系コンサルティング会社が、マネジメント力や経営の資質があるかどうか、「人財」評価する。
インタビューのほか、コンサルが用意した設問に回答してもらい、人となりを丸裸にする。小学校や中学、高校生時代にやっていたことから大学で学んだこと、入社後達成した成果、社内外の人間関係――。その人にまつわる“ビッグデータ”をくまなく集め、文書の形ですべての委員に差し出す。
選抜時に任期も決める
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