日本には一体何種類のハラスメントがあるのか。インターネットで「ハラスメント 種類」などと検索すると、中には80種類以上のハラスメントについて1つ1つ解説しているようなまとめサイトもある。

 日本における「ハラスメント」のはしりといえば1980年代後半から社会的に注目され始めた「セクシュアルハラスメント(セクハラ)」だろう。セクハラは欧米から日本に持ち込まれた言葉だが、2001年にハラスメント防止のコンサルティングなどを手掛けるクオレ・シー・キューブ(東京・千代田)が提唱し始め、今やすっかり市民権を得た「パワハラ」は実のところ和製英語だ。英語には「Workplace Bullying」という言葉があり、和訳すると「職場のいじめ」となるが、これはパワハラのような上下関係に限った話ではない。

 コロナ禍で新たに注目されるようになった「コロハラ」や「ワクハラ」など日本では今も「XXハラ」が増殖し続けている。これは略語が多い日本語ならではとも言えそうだ。50種類以上あるとされる日本のハラスメント用語を解説する。

(写真:PIXTA)
(写真:PIXTA)

■連載予定 ※内容は予告なく変更する可能性もあります
(1)威圧的な説教に公私の拘束も、なぜパワハラはなくならないのか
(2)いつの間にか「パワハラ大国」のニッポン ハラスメント保険に殺到
(3)パワハラ上司予備軍かチェック、「グレーゾーン」に気を付けろ
(4)増殖する「XXハラ」を公開、これがハラスメント大全だ(今回)
(5)ネットフリックスなど先進企業に学ぶ、ハラスメント対策最前線
(6)トヨタ、パナソニックが得た教訓、人権意識向上待ったなし
(7)「表に出るようになったのは救いがある」、スペイン指導者が語る日本サッカー界の現状
(8)「パワハラは上司のエゴだ」、元パワハラ上司が変心できた理由
(9)「パワハラ防止法」が中小に適用拡大も、対策進まぬ現場
(10)パワハラ誕生から20年、名付け親が抱く懸念「救済から排除の言葉に」

パワー

 地位、知識、集団といった「力」を使ったハラスメント。パワハラというと上司から部下へのいじめ、嫌がらせのイメージが根強いが、定義はこれに限らない。例えば、ITリテラシーの高い若手社員がパソコンの使い方に疎い中高年社員に対し「そんなことも分からないでよく仕事できますね」と非難することは「知識」によるパワハラと言えるだろう。また、部下が徒党を組んで上司を無視するという行為は「集団」の力によるパワハラだ。

 以下のハラスメントは職場で起きる事例が特に多い。その代表例が「パワハラ」で、これらはその派生語であるとも言えるだろう。

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